本研究では、リンパ管形態形成とリンパ管内皮細胞の表現型推移に着目して、顎顔面領域でのリンパ管の発生機序について分子生物学的、免疫組織化学的解析により検討した。その結果、①リンパ管発生関連の遺伝子群は胎生14.5日前後で発現ピークを示すこと、②顎顔面領域のリンパ管内皮細胞は体幹部主静脈の血管内皮細胞に由来し、遠隔の顎顔面領域まで体幹部背側の狭い間隙を遊走すること、③顎顔面領域のうち、最も早く下顎突起に到達すること(胎生10.5日)、④下顎突起では単独遊走→集簇→配列→管腔形成の順序でリンパ管の形態形成が起こること、⑤各段階のリンパ管内皮細胞では発現する分子の変遷がみられることなどを明らかにした。
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