研究課題/領域番号 |
26462800
|
研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
春原 正隆 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (70287770)
|
研究分担者 |
森川 茂 国立感染症研究所, 獣医科学部, 部長 (00167686)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 胎生期 / 歯胚 / 血管 |
研究実績の概要 |
血管新生過程においては、血管新生ニッチ形成も含め、各組織ごとに内皮細胞、壁細胞の分化・成熟が時間的・空間的に制御されていると考えられる。歯胚発生は、口腔上皮と神経堤由来間葉組織の相互作用により開始される。歯胚において「幹細胞」の存在は確認されているものの、歯髄幹細胞の分化制御機構の解明には至っていない。従って、歯胚領域血管新生過程における血管内皮細胞および壁細胞間相互作用の分子メカニズムを解明することは、歯髄幹細胞の分化制御機構の解明につながり、歯髄再生医療具現化の基盤となる重要な情報を提供するものと期待される。 本年度は前年度に継続し、各種angiopoietin遺伝子に着目し、歯胚発生過程における経時的遺伝子発現パターンをin situ hybridization法を用いて詳細に解析を行ない、既に解析を終えているFlk1(VEGF-R2), Tie-2遺伝子の経時的発現状況と比較検討を行い、歯胚発生過程における血管新生の分子機構に関して検討を行った。 前年度の解析において、angiopoietin1遺伝子が胎生12.5日から18.5日齢のマウス胎児において、歯胚周辺部間葉細胞、歯乳頭、エナメル器において、時期特異的、部位特異的に明瞭に発現していることが確認されているが、angiopoietin2遺伝子に関しては、angiopoietin1遺伝子とは異なる発現パターンが時期特異的に認められた。 今後、各種angiopoietin遺伝子の発現状況の差異の意義について検討を行い、Flk1(VEGF-R2), Tie-2遺伝子の経時的発現状況の解析結果をふまえ、各遺伝子間相互作用の分子メカニズムの解明が急務であると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は血管新生に関与すると予想される遺伝子のうち、各種angiopoietin遺伝子に着目し、in situ hybridization法を用いて胎生期における経時的遺伝子発現状況の解析を行う予定でありましたが、解析にあたり、とりわけ本実験系で正常にworkするangiopoietin遺伝子のベストのプローブの選定に予想以上の時間を要したこと、さらには上顎・下顎の歯胚を同一切片上で揃えた切片を準備することが極めて困難であったため、in situ hybridizationの実験遂行に必要な切片の枚数確保にかなりの時間を要しましたこともあり、「研究の目的」の達成度に関しましては「やや遅れている」と報告させて頂きたいと存じます。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度以降は血管新生に関与する可能性が高い他の遺伝子に関して、正常にworkするベストのプローブの選定後、早急にin situhybridization法を用いて歯胚領域における経時的遺伝子発現状況の解析を詳細に行なう予定である。 また胎生期における上記遺伝子の経時的遺伝子発現状況の解析結果をふまえて、我々が既に解析を終えている血管新生に関与することが予想される各種遺伝子との関連、さらにはTPO/MPLシグナルとのクロストークの可能性の有無に関しても詳細に検討してまいりたいと考えております。 他方、血管内皮細胞の増殖シグナルにはPKCの活性化が必須であるとの報告もあることから、in situ hybridization法および免疫染色法により、各種PKC-isoformおよびPKC-isoform 発現に関与するWntシグナル関連遺伝子の発現状況の解析結果とこれまで解析済みの血管新生に関与することが予想される各種遺伝子との関連についても検証を行い、血管新生因子発現に関与する一連の遺伝子の同定および各遺伝子分子間相互作用の分子メカニズムを解明することにより、血管内皮細胞、壁細胞の分化・成熟に関する時間的・空間的制御機構の解明を行ってまいりたいと考えております。
|