研究実績の概要 |
血管新生過程において内皮細胞および壁細胞の分化・成熟が時間的・空間的に制御されると考えられており、血小板造血機構が血管新生に関与しているとの報告もある。これまでc-Mpl受容体蛋白発現状況に関し、数種類の抗体を用いて解析したものの結果は得られなかった。そこで最終年度に際し、Abcam社製 Anti-TPOR antibodyを用いてE11.5~E18.5日齢におけるc-Mpl受容体蛋白の経時的発現状況の解析を行った結果、時期特異的、部位特異的に明瞭に発現していることが確認され、既に解析済みのE11.5~E18.5日齢におけるc-mpl遺伝子の発現状況に一致する結果が得られた。従ってE11.5~E18.5日齢の歯胚発生過程におけるTPO/MPLシグナルの関与が確認された。 一方。歯胚発生過程におけるangiopoietin1,angiopoietin2遺伝子の経時的発現状況を in situ hybridization法を用いて解析を行なったところ、angiopoietin1遺伝子が胎生11.5日から18.5日齢マウス胎児のエナメル器、歯乳頭、歯胚周辺部間葉細胞において時期特異的、部位特異的に明瞭に発現していたのに対し、angiopoietin2遺伝子の発現時期は極めて限定されていた。また、E15.5~E17.5日齢の歯乳頭においてangiopoietin1, Tie-2, Vegf-R2遺伝子の強い発現が認められ、E14.5~E16.5日齢の歯乳頭においてはc-mpl遺伝子の強い発現が認められ、angiopoietin1, Tie-2, Vegf-R2遺伝子およびTPO/MPLシグナルが歯胚領域血管新生過程における血管内皮細胞・壁細胞間相互作用に関与する可能性が示唆された。
|