唾液は口腔粘膜のみならず消化管粘膜の恒常性維持に重要な役割を果たしている。そこで唾液分泌量の減少が消化管粘膜に与える影響について研究した。大唾液腺全摘出モデルマウスを作出し、空腸、回腸、大腸に対する唾液分泌量減少の影響を組織学的に検討した。ヘマトキシリン・エオジン染色標本において空腸は術後1か月、3か月、6か月で絨毛の長さの短縮が見られた。また、回腸は術後6か月で絨毛の短縮が見られた。大腸では明らかな組織学的差異は認められなかった。以上より唾液分泌量の減少は口腔側に近い消化管の恒常性維持に影響を与え、粘膜上皮に組織学的変化をもたらす可能性が示唆された。
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