研究課題/領域番号 |
26462803
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
引頭 毅 朝日大学, 歯学部, 准教授 (10360918)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 口腔免疫 / 抗菌因子 / 小胞輸送 / 唾液腺 / インターセクチン / エンドサイトーシス |
研究実績の概要 |
インターセクチン(ITSN)は多くの動物種で保存されている細胞質タンパク質であり、エンドサイトーシスやエキソサイトーシスなど細胞内小胞の輸送、あるいは小胞形成にも関与すると考えられているが、多くのタンパク質と相互作用するスカフォールドとして機能することもあり、その正確な機能を伺い知るのは難航している。本研究課題の目的は、ITSN欠損マウスを使用し、唾液腺における抗菌因子産生・分泌制御に焦点を当て、ITSNの口腔領域における未知の機能・役割をマウスの表現型の解析を通して解明していくことである。 平成27年度の研究計画としては、(1)マウス唾液腺における抗菌因子タンパク質発現の解析ならびに(2)唾液腺におけるIgA発現機構の解析を行う予定であった。しかしながら、昨年度の研究実績概要にも記載したが、ITSN遺伝子の欠如は予想をはるかに超えてマウスの出生と発育に影響を及ぼすようであり、本研究に使用する予定であったマウスの個体数を十分に確保できない状況が続いていた。この状況を打開するためいくつかの対策を平成26年度中から講じてきたが、その一つとして、元来129系統のITSN欠損マウスを使用していたが、これをC57BL/6系統を背景とするコンジェニック系統へと移行させていくことである。平成27年度中の実績としてこの系統のマウスがN8世代にまで到達できたため、平成28年度中にはN10を確保でき、今後十分に研究に使用できるようになる見込みである。目下C57BL/6系統を背景としたマウスでは、129系統でみられたような顕著な出生・発育上の異常は観察されていないことから、十分な頭数確保が行っていけるものと期待している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題は遺伝子改変マウスから得た組織や細胞を使用した実験を主体として研究計画が進められる予定であったが、思うように使用可能なマウスの個体数が確保できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要にも記載したが、現在C57BL/6系統を背景とするコンジェニック系統のITSN欠損マウスの樹立を行っており、今年度半ばには完了する見込みである。マウス個体数が確保できれば、研究計画としては遅れは生じているものの、本来計画していた研究内容の実施へ移行していけると思われる。また、本コンジェニック系統マウスが樹立された後には、昨年度の研究の推進方策の中で記載していたような胎児由来線維芽細胞(MEF)を採取し、これを用いた実験を行っていくことも可能となる。本来の研究計画の一部変更は余儀無くされるが、可能な限り本来の目的を達成できるように努め、研究内容の相違点についても最大限の研究成果によりカバーしていけるように工夫していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度研究費執行までの期間(3月~5月の期間)に必要な動物飼育費用等を確保するため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度研究費の執行までの期間に必要な動物飼育費用等を確保するため、必要不可欠な次年度使用額を意図的に生じさせたものである。次年度使用額は多額ではなく、この期間にほとんどが消費される予定であるため、次年度の助成金の使用に際して大きく計画と異なるような問題は生じない。
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