研究課題/領域番号 |
26462814
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
赤松 徹也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 准教授 (80294700)
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研究分担者 |
姚 陳娟 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 助教 (20432750)
吉村 弘 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (90288845)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 顎下腺 / 再生 / サチライシン様前駆体蛋白質変換酵素 / PACE4 / 水チャネル / AQP5 / 雌雄差 |
研究実績の概要 |
唾液腺再生の分子機構解明のため、ラット顎下腺主導管結紮・再開放系を用いて、唾液腺の発生・分化・成熟と密接に関わるサチライシン様前駆体蛋白質変換酵素(SPC)であるPACE4との関連性を中心に解析した。 主導管結紮により、顎下腺は唾液の貯留を伴う腫脹の後、萎縮し、この間、唾液分泌に関わる水チャネルAQP5蛋白質の発現レベルが減少することを確認した。一方、PACE4は著しく発現が誘導されることから、唾液腺再生への関与が強く示唆された。主導管結紮1週間後に再開放し、更に1-2週間後に同様に解析した結果、雄性ラット顎下腺では再開放により完全ではないが、AQP5蛋白質レベルの回復が、また、PACE4蛋白質レベルについては減少が、各々示唆され、AQP5とPACE4の発現レベルの間に逆相関関係が示唆された。雌性ラット顎下腺でもAQP5蛋白質レベルの回復は認められたものの、PACE4発現との逆相関関係は認められなかった。しかし、雄性ラット顎下腺に比べ優位に、雌性ラット顎下腺の回復傾向が見られた。更に回復期間を延長し、結紮解除から4-8週間後に同様に解析した。その結果、雌雄共に完全には回復しないものの、回復期間延長に応じた回復と雌性優位な回復が示唆された。雌雄差の影響については、一部、卵巣摘出雌性ラットを用いた解析から、発現パターンの変動が雄性ラット同様の発現パターンになることから、雌性特異的機構が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メカニズムの全容解明には至っていないが、唾液腺主導管結紮/再生モデル実験におけるPACE4の発現誘導の再現性等は十分に確認され、雌雄差があることから、この発現誘導機構や唾液腺再生メカニズムへの性ホルモンの影響等を示唆する興味深い知見が得られており、今後の研究の進展に期待が持てる。
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今後の研究の推進方策 |
今回の研究成果から、唾液腺主導管結紮/再生モデルは唾液腺再生におけるPACE4の生理機能やその詳細な分子機構を解明する上で非常に有用であり、引き続き解析する。PACE4に対するin vivo RNAi実験も行ったが、現時点で明確な影響は確認できていない。mRNA発現の変動や組織像への影響等、更に詳細に解析し、siRNAの投与量・部位の検討も含めて引続き検討する。
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