研究課題
本研究では、味細胞における苦味受容および伝達機構に注目し、既知のT2R-Gαgust-PLCβ2-TRPM5 を介した苦味受容機構と、これとは独立した新奇の苦味受容機構について生理学的、分子生物学的手法を用い追及し、味細胞における苦味受容機構の解明と、苦味情報のコーディングにおける味細胞の果たす役割ついて明らかとすることを目的とする。本年度は、マウス茸状乳頭gustducin-GFP発現味細胞の10種の苦味物質(キニーネ、シクロヘキシミド、デナトニウム、カフェイン、シュクロースオクタアセテート、テトラエチルアンモニウム、フェニルチオウレア、L-フェニルアラニン、硫酸マグネシウム、高濃度サッカリン)および高濃度NaClに対する応答を解析した。その結果、多くのgustducin-GFP細胞はキニーネ、デナトニウム、シクロヘキシミドの3種の刺激に応答を示し、平均で3.46±0.39種の苦味刺激に応答した。これら苦味応答はTRPM5チャネル阻害剤であるTPPOで可逆的、かつほぼ完全に抑制された。またPLC阻害剤であるU73122によっても応答は完全に抑制されたが、この薬剤を使用した場合には応答の回復は見られなかった。一部のgustducin-GFP細胞は高濃度NaClにも応答を示し、他の苦味応答との相関を解析した結果、硫酸マグネシウムの応答と強い相関が見られた。また、本年度はこれまで困難であったマウス有郭乳頭味細胞からの応答記録法をほぼ確立し、現在gustducin-GFP発現細胞の苦味応答プロファイルの解析を進めている。さらに苦味受容とコレシストキニン(CCK)との関連性について解析を進めているところである。
2: おおむね順調に進展している
概ね当初に計画したとおりに実験を実施し、結果を得られている。
これまでの予備実験の段階で、コレシストキニンと苦味受容との関連性について興味深い結果が得られてきている。そこで、本年度はコレシストキニンの苦味受容における役割をについて解析を進める。同時に、有郭乳頭のgustducin-GFP味細胞の応答プロファイルを明らかとし、茸状乳頭のgustducin-GFP味細胞の応答プロファイルとの比較検討を行う予定である。
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