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2015 年度 実施状況報告書

味細胞における苦味情報のコーディング

研究課題

研究課題/領域番号 26462815
研究機関九州大学

研究代表者

吉田 竜介  九州大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (60380705)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード味覚 / 味細胞 / 苦味 / コレシストキニン / 遺伝子改変マウス / 味覚受容機構
研究実績の概要

本研究では、味細胞における苦味受容および伝達機構に注目し、既知のT2R-Gαgust-PLCβ2-TRPM5 を介した苦味受容機構と、これとは独立した新奇の苦味受容機構について生理学的、分子生物学的手法を用い追及し、味細胞における苦味受容機構の解明と、苦味情報のコーディングにおける味細胞の果たす役割ついて明らかとすることを目的とする。
本年度は、マウス有郭乳頭gustducin-GFP発現味細胞の10種の苦味物質および高濃度NaClに対する応答を解析し、茸状乳頭の応答特性と比較した。その結果、有郭乳頭と茸状乳頭の間でgustducin-GFP味細胞の苦味物質に対する応答プロファイルに顕著な差は認められず、TRPM5阻害剤やPLCβ2阻害剤により苦味物質に対する応答は同様に抑制された。応答強度はキニーネ、シクロヘキシミド、高濃度NaCl、MgSO4に有意な差が認められた。これらの結果及び昨年度の結果から、有郭、茸状両乳頭のgustducin発現苦味細胞は同様の苦味受容機構(T2R-Gαgust-PLCβ2-TRPM5経路)により応答が生じ、苦味受容体T2Rの受容体発現パターンも大きな差は無いと推測される。苦味物質とコレシストキンとの関連性について解析した結果、CCK受容体ノックアウトマウスでは野生型マウスと比較し、苦味物質に対する神経・行動応答が選択的に減少していた。CCKを静脈注射すると濃度依存的な鼓索神経活動が記録され、CCK受容体阻害剤によりその効果は消失した。これらの結果から、CCKがマウスの苦味応答に関与する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

概ね当初に計画したとおりに実験を実施し、結果を得られている。

今後の研究の推進方策

来年度は、gustducin発現苦味細胞の応答やマウス神経・行動応答に対するT2R阻害剤(GABA、Nα-Nα-BM-Lysine、probenecidなど)の効果を検索する。また、ヒトの苦味認知閾値に対するT2R阻害剤の効果についても調べ、マウス-ヒト間でのT2R阻害剤の効果について比較する。味細胞における分子発現を調べるため、免疫染色によりCCKやその受容体の発現パターンを解析する。さらに、苦味応答を記録した味細胞を回収しsingle cell RNA-SeqもしくはqRT-PCRなどによりT2Rの発現プロファイルを調べ、苦味応答とT2R発現との関連性について調べる。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた実験補助のアルバイトの回数が当人の都合により少なくなってしまった。また、その後任が見つからなかったため謝金の支払額が減少した。

次年度使用額の使用計画

今後の実験計画にある味細胞発現分子の解析に利用する試薬類が高価であり、これらを追加購入する資金として充当する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Taste information derived from T1R-expressing taste cells in mice.2016

    • 著者名/発表者名
      Yoshida R, Ninomiya Y.
    • 雑誌名

      Biochem J

      巻: 473 ページ: 525-536

    • DOI

      10.1042/BJ20151015

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Intracellular acidification is required for full activation of the sweet taste receptor by miraculin.2016

    • 著者名/発表者名
      Sanematsu K, Kitagawa M, Yoshida R, Nirasawa S, Shigemura N, Ninomiya Y.
    • 雑誌名

      Sci Rep

      巻: 10 ページ: 22807

    • DOI

      10.1038/srep22807

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Leptin Suppresses Mouse Taste Cell Responses to Sweet Compounds.2015

    • 著者名/発表者名
      Yoshida R, Noguchi K, Shigemura N, Jyotaki M, Takahashi I, Margolskee RF, Ninomiya Y
    • 雑誌名

      Diabetes

      巻: 64 ページ: 3751-3762

    • DOI

      10.2337/db14-1462

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] レプチンによる甘味抑制機構2016

    • 著者名/発表者名
      吉田 竜介, 重村 憲徳, 二ノ宮 裕三
    • 学会等名
      第93回日本生理学会大会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2016-03-22 – 2016-03-24
    • 招待講演
  • [学会発表] レプチンによる甘味応答抑制のメカニズム2015

    • 著者名/発表者名
      吉田 竜介, 重村 憲徳, 二ノ宮 裕三
    • 学会等名
      日本味と匂学会第49回大会
    • 発表場所
      岐阜
    • 年月日
      2015-09-24 – 2015-09-26
    • 招待講演
  • [学会発表] マウス苦味受容味細胞の応答特性2015

    • 著者名/発表者名
      吉田 竜介, 二ノ宮 裕三
    • 学会等名
      第57回歯科基礎医学会学術大会
    • 発表場所
      新潟
    • 年月日
      2015-09-11 – 2015-09-13
  • [図書] Peptide Signaling in Taste Transduction. In Zufall F, Munger SD, eds. Chemosensory Transduction: The Detection of Odors, Tastes, and Other Chemostimuli.2016

    • 著者名/発表者名
      Shingo Takai, Ryusuke Yoshida, Noriatsu Shigemura, Yuzo Ninomiya
    • 総ページ数
      18(担当分)
    • 出版者
      Academic Press
  • [図書] 研究者が教える動物実験・第1巻・感覚・マウス味細胞応答記録法2015

    • 著者名/発表者名
      吉田竜介
    • 総ページ数
      1(担当分)
    • 出版者
      共立出版

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公開日: 2017-01-06  

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