細胞外リンを感知しカルシウム輸送を調節する新規システムを検討した。カルシウム吸収が低下した小腸VDRKOマウスにリン制限食を投与したところ、カルシウム吸収と骨量の増加を確認し、リン濃度変化に応答するATP-ピロリン酸代謝分子のENPP1の関与を確認した。さらに、腸上皮細胞輸送評価系の外液リン濃度を変化させたところ、リン濃度の低下によりENPP1の管腔側膜局在は減少し、ATPが外液に蓄積した結果、P2X受容体に作用してカルシウム流入は増加した。本研究の結果から、ENPP1によるATP代謝系が細胞外液リンに応答するセンサーであり、局所カルシウム輸送を調節する可能性が示唆された。
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