研究課題/領域番号 |
26462818
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
三浦 裕仁 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80353936)
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研究分担者 |
中山 歩 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (10398290)
原田 秀逸 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60128452)
大木 誠 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60596104)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 味蕾 / 胚発生 / 細胞分化 / 基底細胞 |
研究実績の概要 |
味覚受容器である味蕾を構成する細胞は、ヒトを含む哺乳類では、平均すると10日から14日という短い周期で次々と細胞が置き換わっており(ターンオーバー)、味蕾内で様々な味を受容する細胞は一生涯にわたり常に新しく生み出されている。この味蕾細胞のターンオーバーの異常は味覚障害の原因になると考えられており、そのメカニズムの解明は味覚障害の予防や治療法の開発に重要である。私達は、これまでに、味蕾の基底部で細胞増殖・分化誘導因子Sonic hedgehog (Shh) を発現する細胞が、甘味・うま味・苦味の受容を担当するII型細胞、酸味と塩味の受容細胞とされるIII型細胞、そしてグリア細胞の性質を持つI型細胞と、味蕾を構成する全ての細胞種に分化することを示したが、Shh発現細胞がどのように分化するか、また、Shh発現細胞から I, II, III型細胞が分化するタイミングは不明のまま残されている。近年、他の研究グループから、胚発生で将来味蕾になる細胞集団(味蕾原基)が出現するとき、転写因子Sox2が上皮全体的に弱く発現している中に、強くSox2を発現する細胞集団が出現して、Shhを共発現する味蕾原基になると報告された。しかし、Sox2とShhの発現解析は不明瞭で疑問が残されていた。そこで、本年度は味蕾基底細胞の特性の解明をさらに進めるため、Sox2が味蕾原基で発現し味蕾細胞への分化を規定しているかを中心に検討した。その結果、Sox2の強い発現が味蕾原基に限局されるのは、舌の尖端の味蕾が形成されるごく初期の段階だけで、発生が進むとSox2の強い発現はすぐに味蕾周囲にも検出された。また、軟口蓋の味蕾が形成される初期段階にはSox2の限局した強い発現は全く検出されなかった。これらの解析結果は、Sox2が味蕾およびその近傍の細胞の両方分化に関与していることを示していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Sox2, Prox1, Shhをマーカーとして胚発生過程で出現する味蕾基底細胞の性質の解析は進んだが、味蕾細胞培養系の確立は、使用する遺伝子組換えマウスの導入の遅れなどから、予定よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
Cre-loxPシステムを用いて、味蕾の培養系の確立を進め、味蕾細胞分化の解析と味覚応答能の解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
1) 当初予定していたCaイメージング装置を既存装置で代用できることになったこと、また、2)使用する遺伝子改変マウスの導入の遅れのため、使用額が当初予定よりも減じたこと。
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次年度使用額の使用計画 |
当初から予定していた組織化学解析、動物実験の費用に加えて、培養関連の機器を新たに購入する予定である。
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