研究課題/領域番号 |
26462822
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
田隈 泰信 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40095336)
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研究分担者 |
岡山 三紀 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (30382500)
荒川 俊哉 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (40306254)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 人工ヌクレアーゼ / TALEN / SNAP23 / CRISPR/Cas9 / 遺伝子ノックアウト細胞 / HeLa細胞 / ハプロイド細胞 / 歯根膜細胞 |
研究実績の概要 |
人工ヌクレアーゼによる培養細胞の遺伝子ノックアウト技術を確立するため、まずオフターゲット効果が少ないと考えられている人工ヌクレアーゼTALENを用い、HeLa細胞の遺伝子ノックアウトに挑戦した。分泌関連遺伝子であるSNAP23を標的とし、SNAP23遺伝子に切断部位を2箇所設定し、TALEN発現ベクターを作成した。第1のTALENを導入後、DNAが切断されたHeLa細胞をクローニングし、標的配列をシークエンス解析したところ、全ての配列に欠失変異が認められたものの、どのクローンにも3の倍数である3~9塩基を欠失したインフレーム変異が含まれており、ウエスタンブロット解析の結果、短縮したSNAP23の発現が確認された。次に、このうちの1クローンを選び、第2のTALENを導入後、同じくDNAが切断されたHeLa細胞をクローニングし標的配列をシークエンス解析したところ、今度は、全てのクローンにインフレーム変異または無傷のDNAのいずれかが含まれ、ウエスタンブロット解析でも依然としてSNAP23が検出され、完全な遺伝子ノックアウト細胞のクローン化には至らなかった。この原因として、1)SNAP23遺伝子が細胞の増殖に必須の働きをしているため、遺伝子が完全にノックアウトされたものは生き残ることが出来なかった可能性と、2)HeLa細胞は染色体数が2nとは限らず不規則であり、完全な遺伝子KOは困難である可能性が考えられた。 そこで、1)コンディショナル遺伝子KOシステムの構築と、2)染色体数がほぼnのハプロイド培養細胞を用いた遺伝子KO実験を計画した。まず、2)のハプロイド細胞を用い、人工ヌクレアーゼとしてCRISPR/Cas9を利用する遺伝子ノックアウトに挑戦したところ、最近、SNAP23の完全KO細胞のクローニングに成功し、現在その機能解析を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人工ヌクレアーゼとしてTALENとCRISPR/Cas9を用い、培養細胞の遺伝子ノックアウトに挑戦し、まだ解析の途中であるが、分泌関連遺伝子SNAP23のノックアウト細胞のクローニングに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
人工ヌクレアーゼによる培養細胞を用いた分泌関連遺伝子のノックアウト解析について、今後、主として3つの方向で研究を進める。1)SNAP23遺伝子ノックアウトにより細胞の分泌機能をはじめとする細胞諸機能の変化を解析する。同時に、SNAP23遺伝子KOが他の遺伝子発現にどのような変化を与えるかDNAマイクロアレー解析を進める。2)同様の方法で、他のSNARE遺伝子のノックアウトに挑戦し、SNAREタンパク質の役割と相互作用の解析を進める。3)上記の成果を歯根膜細胞の遺伝子ノックアウトに応用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の最後に海外出張旅費の支出を予定していたため、研究費の執行をやや控え、5万円弱の未執行額が残った。しかし、未執行額は少額であり、次年度の予算執行に支障はない。
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次年度使用額の使用計画 |
未執行額は5万円弱と少額であり、使用計画を変更する必要はない。
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