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2015 年度 実施状況報告書

間葉系幹細胞が支持する破骨細胞前駆細胞ニッチの解析

研究課題

研究課題/領域番号 26462826
研究機関松本歯科大学

研究代表者

溝口 利英  松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (90329475)

研究分担者 小林 泰浩  松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (20264252)
中道 裕子  松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (20350829)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード破骨細胞 / QOP / 骨髄間葉系幹細胞 / M-CSF / osteoprotegerin / ニッチ / Runx2 / レプチン受容体
研究実績の概要

我々は、in vivoにおける破骨細胞は(1) 細胞増殖が停止した破骨細胞前駆細胞(QOP)から分化すること (2) QOPは、M-CSF依存的に形成されることを明らかにした。以上より、M-CSFの発現を介して、QOPの形成を支持する微小環境(ニッチ)の存在が予想される。我々は骨髄間葉系幹細胞がQOPニッチとして機能することを予想している。平成27年度は、「 QOPニッチのin vivo解析」を目的とした。「QOPニッチマーカーの探索」、「間葉系幹細胞の抑制によるQOPニッチへの影響の解析」および「破骨細胞形成促進モデルマウスにおけるQOPニッチの解析」を目標に研究計画を立てた。①「QOPニッチマーカーの探索」:骨芽細胞分化初期に発現する転写因子であるRunx2を、新たなQOPニッチのマーカーとして同定した。②「間葉系幹細胞の抑制によるQOPニッチへの影響の解析」: QOPニッチ特異的にジフテリアトキシン受容体を発現するマウスを作製し、QOPニッチの枯渇実験を行った。その結果、QOPニッチの枯渇によるQOPへの影響は認められなかった。③「破骨細胞形成促進モデルマウスにおけるQOPニッチの解析」:破骨細胞分化抑制因子である、Osteoprotegerin(OPG)を欠損したマウスでは、破骨細胞の分化亢進が認められる。野生型およびOPG欠損マウスのQOPニッチを回収し、RNAシークエンスによる比較を行う。現在、FACSにより細胞を回収している段階である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成27年度は①QOPニッチマーカーの探索、②間葉系幹細胞の抑制によるQOPニッチへの影響の解析、 ②破骨細胞形成促進モデルマウスにおけるQOPニッチの解析を行った。【QOPニッチマーカーの探索】以前我々は、Leptin受容体プロモーターの下流でCreリコンビナーゼを発現する遺伝子 (LepR-cre) と、Tomato蛍光色素をCre依存的に発現するレポーター遺伝子(flox-stop-flox-Tomato)を有するダブルトランスジェニックマウスを作製し、LepR陽性細胞が骨髄間葉系幹細胞であることを明らかにした。本年度は、Runx2-GFPマウスを用いて、骨髄間葉系幹細胞におけるRunx2の発現を調べた。その結果、Runx2を低発現する画分に、骨髄間葉系幹細胞能が高い細胞が含まれることを明らかにした。以上より、Runx2がQOPのニッチマーカーであることが明らかになった。【間葉系幹細胞の抑制によるQOPニッチへの影響の解析】ジフテリアトキシン受容体 (flox-stop-flox-DTR)とLepR-creとのダブルトランスジェニックマウスを作成した。ジフテリアトキシンの投与により間葉系幹細胞の枯渇が確認されたが、QOP画分に変化は認められなかった。【破骨細胞形成促進モデルマウスにおけるQOPニッチの解析】Nestun(Nes)-GFPマウスは、骨髄間葉系幹細胞(QOPニッチ)をGFP陽性細胞として検出可能である。Nes-GFPマウスとOPG欠損マウスを掛け合わせた。野生型およびOPG欠損マウスにおけるNes-GFP陽性細胞を回収し、RNAシークエンスを行う。RNAシークエンス解析には、最低10 ngのmRNAが必要であるため、数回にわたりFACSによる細胞回収を行っている。

今後の研究の推進方策

当初、間葉系幹細胞得意的にM-CSF発現を抑制し、QOPおよび破骨細胞に対する影響を調べる予定であった。しかし、M-CSF-flox/floxマウス供与の承諾が、Dr. Abbound Werner S. (デキサス大学)より得られなかったため、実験は中止した。今後は、平成27年度に引き続き、「破骨細胞形成促進モデルマウスにおけるQOPニッチの解析」を進める予定である。一方、副甲状腺ホルモン(PTH) は、骨形成促進作用を有することが知られている。最近我々は、PTHのマウスへの投与が、QOPニッチである骨髄間葉系幹細胞の骨芽細胞への分化を促進するという所見を得た。今後、PTH投与にともなうQOPニッチへの影響についても解析を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

消耗品が割引価格で購入できたため。

次年度使用額の使用計画

研究記録を記入する筆記用具及びノートを購入する。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] The dynamin inhibitor dynasore inhibits bone resorption by rapidly disrupting actin rings of osteoclasts.2016

    • 著者名/発表者名
      Thirkonda GJ, Uehara S, Nakayama T, Yamashita T, Nakamura Y, Mizoguchi T, Takahashi N, Yagami K, Udagawa N, Kobayashi Y.
    • 雑誌名

      J Bone Miner Metab

      巻: 34 ページ: 395-405

    • DOI

      10.1007/s00774-015-0683-1.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Regulation of bone metabolism by Wnt signals.2016

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi Y, Uehara S, Udagawa N, Takahashi N.
    • 雑誌名

      J Biochem

      巻: 159 ページ: 387-392

    • DOI

      10.1093/jb/mvv124.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Comparing immunocompetent and immunodeficient mice as animal modeles for bone tissue engineering.2015

    • 著者名/発表者名
      Zhang Y, Li X, Chihara T, Mizoguchi T, Hori A, Udagawa N, Nakamura H, Hasegawa H, Taguchi A, Shinohara A, Kagami H.
    • 雑誌名

      Oral Dis

      巻: 21 ページ: 583-592

    • DOI

      10.1111/odi.12319.

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Bone cell biology assessed by microscopic approach. Mechanisms of in vivo osteoclastogenesis.2015

    • 著者名/発表者名
      Mizoguchi T.
    • 雑誌名

      Clin Calcium

      巻: 25 ページ: 1445-1452

    • DOI

      CliCa151014451452.

  • [雑誌論文] Wnt16 regulates osteoclast differentiation in conjunction with Wnt5a.2015

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi Y, Thirukonda GJ, Nakamura Y, Koide M, Yamashita T, Uehara S, Kato H, Udagawa N, Takahashi N.
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun.

      巻: 463 ページ: 1278-1283

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2015.06.102.

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 発生過程における骨髄間葉系幹細胞の起源2015

    • 著者名/発表者名
      溝口利英
    • 学会等名
      第9回 骨・軟骨フロンティア
    • 発表場所
      ベルサール八重洲(東京)
    • 年月日
      2015-11-07
    • 招待講演
  • [学会発表] Developmental origin of bone marrow mesenchymal stem cells2015

    • 著者名/発表者名
      溝口利英
    • 学会等名
      第12回Bone Biology Forum
    • 発表場所
      クロスウェーブ幕張(千葉)
    • 年月日
      2015-08-22
    • 招待講演
  • [学会発表] 発生過程における骨髄間葉系幹細胞の起源2015

    • 著者名/発表者名
      溝口利英
    • 学会等名
      第33回日本骨代謝学会
    • 発表場所
      京王プラザホテル(東京)
    • 年月日
      2015-07-24
    • 招待講演
  • [学会発表] 生体内における骨髄間葉系幹細胞の同定2015

    • 著者名/発表者名
      溝口利英
    • 学会等名
      第1回日本骨免疫学会
    • 発表場所
      ホテルブリーズベイマリーナ(沖縄)
    • 年月日
      2015-06-30
  • [学会発表] 発生過程における骨髄間葉系幹細胞の起源2015

    • 著者名/発表者名
      溝口利英
    • 学会等名
      第14回松本ボーンフォーラム
    • 発表場所
      信州大学医学部(長野)
    • 年月日
      2015-05-16
    • 招待講演
  • [図書] 骨ペディア 骨疾患・骨代謝キーワード辞典 日本骨代謝学会編、骨芽細胞と造血幹細胞2015

    • 著者名/発表者名
      溝口利英、小林泰浩、中道裕子
    • 総ページ数
      327(166-167)
    • 出版者
      羊土社

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公開日: 2017-01-06  

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