研究課題
我々は、in vivoにおける破骨細胞は(1) 細胞増殖が停止した破骨細胞前駆細胞(QOP)から分化すること (2) QOPは、M-CSF依存的に形成されることを明らかにした。以上の所見から、M-CSFの発現を介してQOPの形成を支持する微小環境(ニッチ)の存在が予想される。我々は、骨髄間葉系幹細胞がQOPニッチとして機能することを予想している。以前我々は、レプチン受容体(LepR)を発現する細胞が骨髄間葉系幹細胞であることを明らかにしている (Dev Cell 29:340, 2014)。平成27年度に骨芽細胞分化初期に発現する転写因子であるRunx2を、新たな間葉系幹細胞(QOPニッチ)のマーカーとして同定した。そこで、平成28年度はLepR/Runx2共陽性細胞についての解析を進めた。①「LepR/Runx2陽性細胞における間葉系幹細胞マーカーの発現解析」: LepR/Runx2陽性細胞画分は、間葉系幹細胞マーカーであるPDGFRaとCXCL12の発現が、全骨髄細胞中で著しく高いことを明らかにした。一方、LepR陽性細胞画分中のRunx2陽性および陰性細胞におけるLepRの発現を比較した結果、Runx2陽性細胞画分のLepR発現が有意に高いことが明らかになった。②「LepR/Runx2-GFP陽性細胞の多分化能の解析」: LepR/Runx2陽性細胞は、in vitroで骨芽細胞、脂肪細胞、軟骨細胞に分化することを明らかにした。③「LepR/Runx2陽性細胞に対する副甲状腺ホルモン(PTH)の作用」:マウスへのPTHの間歇投与により、骨量が増加した。この時、LepR/Runx2陽性細胞が骨内膜近辺で増加することを明らかにした。また、PTH投与により、成熟骨芽細胞の増殖には影響を与えなかった。一方、Ki67陽性のLepR/Runx2陽性細胞が骨内膜近辺で多く認められた。
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