研究課題/領域番号 |
26462829
|
研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
福島 秀文 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (70412624)
|
研究分担者 |
自見 英治郎 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (40276598)
岡本 富士雄 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (60153938)
鍛治屋 浩 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (80177378)
岡部 幸司 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (80224046)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | Hajdu-Cheney症候群 / Notch2 / ユビキチンー / プロテアソーム / 破骨細胞 / 骨吸収 / 骨代謝 / 分子生物学 |
研究実績の概要 |
多中心性骨融解症であるHajdu-Cheney症候群(HCS)は末節骨の異常骨吸収,進行性の骨粗鬆症,頭蓋骨変形と共に、口腔内では乳歯の早期喪失や重度の歯周病を引き起こす。近年、このHCSの原因遺伝子としてNotch2が同定され、Notch2のシグナル活性や安定性を制御するPESTドメインの欠失が生じることが明らかとなった。しかしながら、HCS変異による骨吸収亢進のメカニズムは未だ不明である。今回、このNotch2のHCS変異による多中心性骨融解症の発症メカニズムを明らかにするために以下の検討を行った。 1)Notch2 HCS変異のマッピング: これまで報告のあるHCS患者のNotch2遺伝子変異部分のマッピングを行った。Notch2 HCS変異のほとんどは欠失型変異であり、そのC末端欠失部はアミノ酸配列で最小部で約2470アミノ酸うち約50アミノ酸の欠失がみられた。 2) Notch2 HCS変異の破骨細胞形成に対する効果: 1)で解析を行ったNotch2 HCS変異体のクローニングを行い、破骨細胞に過剰発現させ、破骨細胞形成効果を検討した。野生型Notch2にたいしてNotch2 HCS変異体は、有為な破骨細胞形成の上昇が見られた。 3) Notch2 HCS変異体の分子生物学的変化: Notch2 HCS変異体によるNotch2分子の変化を明らかにするために、分子生物学的手法を用いて解析を行ったところ、野生型Notch2にたいしてNotch2 HCS変異体は、有為なNotch2タンパクの半減期の延長が見られた。 以上の結果から、Notch2 HCS変異はタンパクの量的制御機構が関与していることが示唆された。今後はin Vivoモダルの作成などを含めた、より詳細な検討を重ねていきたいと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26,27年度で予定していた、遺伝子解析と破骨細胞系に対する効果および分子生物学的変化を明らかに出来たことから、順調に推移していると考えられる。また、in Vivoモデル作成に必要なマウスの導入も終了しており、27年度に交配作出を進めていきたいと考えている。 これらのことから、予定の研究が順調にすすんでいるものと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、今回得られたNotch2 HCS変異の変化を制御している分子機構の解明が進んでいることから、本分子機構をin Vivoで再現できる動物モデルの作成を進めている。本年度は動物モデルの解析を行い、本年度のin Vitroモデルの検証を行う。さらに、臨床サンプルのを用いた解析に向かって準備を行っている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度に拠出予定であった、物品費に関して予定していたマウスモデルの作出に関わる費用に関して、マウスの納入が終えていないことから来年度の支出とした。また、いくつかの実験試薬等を次年度購入の予定である。
|
次年度使用額の使用計画 |
27年度に作出予定のマウスモデルの納入後に支出する予定である。また、今後のモデル動物を用いた解析に必要な実験試薬や、モデル動物の治療モデルに用いる試薬に関わる費用として支出する予定である。
|