研究課題/領域番号 |
26462837
|
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
領家 和男 鳥取大学, 医学部, 特任教授 (20093635)
|
研究分担者 |
山本 哲也 高知大学, 医歯学系, 教授 (00200824)
上山 吉哉 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00168668)
萩野 浩 鳥取大学, 医学部, 教授 (80208412)
小谷 勇 鳥取大学, 医学部, 准教授 (10294315)
本城 正 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (10379844)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | BRONJ / rPTH / OC / OC-Luc / MMCT / IMMUNOLOGY / MAC / MSC |
研究実績の概要 |
平成26年に脳梗塞を発症し、平成27年3月より本格的に実験開始した。 BRONJへの治療法の開発に際し、悪性腫瘍を除く骨粗鬆症に対し現在rPTHによる治療法がBPに代わって認められつつあるが、その投与量や投与間隔については確たるものはない。したがって間葉系幹細胞〈MSC〉の骨分化マーカー遺伝子の一つであるオステオカルシン(OC)に注目し、OC遺伝子の発現を指標としてモニターできるようにOC遺伝子の上流約10Kbの制御配列に発光蛋白質ルシフェラーゼ遺伝子を繋いだレポーター遺伝子(OC-Luc)を構築した。OC-Lucを人工染色体ベクター(Mammalian Artificial Chromosome:MAC)に搭載後に微小核融合法を利用してヒト骨髄由来HSC株に導入した。その後PTHの投与量、投与間隔により最適な骨分化をモニターできる間葉系細胞株を樹立した。現在作製したMSC株は骨分化培地での応答性を認め、骨分化誘導能が維持されていた。既知のOC発現誘導剤であるPTH投与によるルシフェラーゼ活性の上昇がみられ、レポーター遺伝子の動作性が確認された。結果としてはOc-Luc搭載ヒト骨髄由来不活化間葉系細胞を4日間培養し、その後PTH50ng/mlを各々24時間、48時間、72時間作用した後、培地を骨分化誘導培地(LONZA)に交換し96時間後に骨分化量(OC)を測定した。またこれらのPTHの処理は前述したものを1サイクルとし、3サイクル行ったものも実験した。その結果、ヒト間葉系幹細胞が骨分化する前期課程において、PTHの間歇投与は、骨分化スピードを早める可能性が示唆された。さらに骨分化前期過程のどのタイミングでPTHを投与すべきか更なる検討が必要で、現在その詳細なタイミングを実験中である。 さらにヒトの皮膚と歯肉粘膜上皮を培養し、粘膜、皮膚へのBPの作用の差を検討している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年8月に脳梗塞をきたし入院、および通院加療し、約10か月研究が遅れていたが,その後はエフォートを上げ、実験を進めてきており、上記実験成果を上げてきた。
|
今後の研究の推進方策 |
研究実績で字数制限のため述べられなかったことを含め今後の研究の推進方策についても述べる。 BRONJが顎骨以外には発生しないことから、細菌感染の門戸としての上皮として、粘膜と皮膚では粘膜がBPに対して絶対的に弱いと仮定し、ヒトの皮膚と歯肉粘膜上皮を培養し、粘膜、皮膚へのBPの作用の差を検討している(in vivoではdendritic cellや Langerhans細胞などの免疫担当細胞が存在するが、組織構造的には角質層の差などによる影響を含め)。すなわち、細菌侵入の初期段階であるその感染経路としての粘膜、皮膚へのBPの差を現在検討している。 さらに粘膜や皮膚の培養に加え、それらを応用し骨芽細胞についてのBPに対する免疫能についても検討予定である。つまりBPが骨芽細胞への免疫抑制作用を有すことを仮定し、骨芽細胞を培養しBPの骨芽細胞に対する免疫学的影響を検討することである.具体的には免疫担当細胞としての機能の有無に対し、免疫担当細胞と骨芽細胞が産生している免疫系サイトカインを比較し(方法としてはHuman Cytokine Assay:ナイーブT細胞がTh1,Th2細胞へ分化しさらにその機能を発現する際に関連するIL-12,IL-2,IFN-γ,TNF-β,IL-4、IL-5,IL-6,IL-9,IL-10,IL-13などをはじめとして)BPの骨芽細胞の免疫機能について検討予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
私自身は脳梗塞を発症し入院加療をしたため、初年度は実験が10か月行えなかった。 そのため,支出額が後回しになったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
皮膚や歯肉粘膜の培養、骨芽細胞の骨免疫能の実験に本格的に入るため支出が次年度にずれています。Human Cytokine Assay:ナイーブT細胞がTh1,Th2細胞へ分化しさらにその機能を発現する際に関連するIL-12,IL-2,IFN-γ,TNF-β,IL-4、IL-5,IL-6,IL-9,IL-10,IL-13などをはじめと骨芽細胞のBPに対する骨免疫能の実験測定の購入費用に使用致します。さらに骨芽細胞(ヒト由来)の遊走(Wound healing assay)、分化(ALP assay)、増殖能(WST assay)についてもBPや免疫とのとの関連で検討予定です。またBP製剤と結合した骨と骨芽細胞が結合することでBPが遺伝子発現にに及ぼす影響をを検討するためにReal time PCRで骨芽細胞の分化に関わるBMP経路の遺伝子を上流よりBMPRⅠ・Ⅱ、特異型Smad1/5/8,抑制型Smad6・7,RUNX2,Osterix,osteopontin,osteocalcinについて検討予定である。
|