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2014 年度 実施状況報告書

超音波診断画像のウェーブレット変換による画像解析とシェーグレン症候群診断への応用

研究課題

研究課題/領域番号 26462843
研究機関九州大学

研究代表者

大喜 雅文  九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10160441)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードウェーブレット解析 / コンピュータ支援診断 / 超音波画像診断 / シェーグレン症候群
研究実績の概要

平成26年度は、ウェーブレット変換による超音波診断画像の画像解析法の確立を目指した。ウェーブレット変換の多重解像度解析では、画像を複数の解像度を持つ画像の集まりに分解し、多重解像度の空間で取り扱う。空間周波数解析としてこれまで用いられてきたフーリエ変換と異なり非周期性の画像の記述ができるため、画像に含まれる病変部の特徴解析に優れていることが予想された。近年、ウェーブレット変換の欠点をさらに補うものとして複素ウェーブレット変換が考案されており、本研究では複素ウェーブレット変換を超音波画像の画像解析に適用することを試みた。診断画像としてはシェーグレン症候群の超音波画像を対象とし、複素ウェーブレット変換により、超音波画像検査の診断精度を向上させることができるかどうかについて検討した。シェーグレン症候群の疑いがあり、長崎大学病院で超音波検査ならびに唾液腺造影検査を受けた患者174人の耳下腺部超音波画像を対象とした。解析用コンピュータ内に取り込んだこれらの超音波画像において、耳下腺内に解析領域を設定し、複素ウェーブレット変換による画像処理を行い、画像特徴量を算出した。画像処理プログラムはMATLABソフトウェアを利用して作成した。求めた特徴量のうち診断に有用な特徴量を選択し、サポートベクターマシンによるシェーグレン症候群の有無について判別を行った結果、感度90±4.5%、特異度89±4.2%、正確度89±3.9%であった。本解析手法は観察者による評価よりも高い診断能を示し、シェーグレン症候群の超音波診断に有用であることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は、超音波診断画像に対してウェーブレット変換を用いた画像特徴解析の手法を確立し、コンピュータ支援診断の導入によるシーグレン症候群の診断精度の向上を目指すことである。平成26年度はこの目的に沿った画像解析プログラムの作成を行い、シーグレン症候群の画像に適用して比較的高い診断精度が得られることを示すことが出来たため、研究は順調に進んでいると評価した。

今後の研究の推進方策

平成26年度にシェーグレン症候群の判別のために開発した画像解析プログラムは継続して改良を進め、より診断精度を高めていく。シェーグレン症候群としてグレード分類された唾液腺造影像との診断精度の比較も行い、グレードの評価が可能かどうかについても検討する。またシェーグレン症候群においては国内外で異なる診断基準が用いられており、それらの診断基準と本コンピュータ診断支援との関わりについても検討し、侵襲性のある唾液腺造影検査から非侵襲的な超音波検査への移行の可能性を探る。
最終年度では、本研究で開発した画像解析を実際の超音波検査時に利用できるようなシステムを検討する。すなわち動画処理と組み合わせてリアルタイムでの解析ができれば、超音波診断装置の近くに設置した解析装置のディスプレイで検査時に術者が画像解析プログラムの結果を確認しながらの超音波検査が可能となる。このために必要なハードウェアとソフトウェアについて検討し、診断支援システムとしての有用性を高める。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Image Analysis in Ultrasonography for Diagnosis of Sjoegren’s Syndrome Using Dual-Tree Complex Wavelet Transform2014

    • 著者名/発表者名
      Takehiro Matsui, Masafumi Ohki, Takashi Nakamura, Yukinori Takagi
    • 学会等名
      AAPM 56th Annual Meeting (米国医学物理学会)
    • 発表場所
      Austin, Texas, USA
    • 年月日
      2014-07-20 – 2014-07-24

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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