研究課題
平成28年度は、動物実験については、我々のグループが作成したcPLA2ノックアウトマウスと正常遺伝子を有するマウスを用いてリンパ節転移の差を生化学的に調査した。まず悪性腫瘍モデルとしてmelanoma細胞であるB16-F10を培養し、一定の個数をマウス後脚のfat padに播種する。すると一定期間の後、足裏に腫瘍が形成され、その後、漆窩リンパ節にリンパ節転移を起こす。cPLA2ノックアウトマウスと正常マウスを比較した結果、細胞播種から腫瘍形成までの期間には差は見られなかったが、腫瘍形成から漆窩リンパ節転移までの期間には差が見られた。cPLA2は炎症性メディエーターであるプロスタグランジンやロイコトリエン合成の起点となる酵素で有り近年腫瘍のangiogenesisを促進することが知られているため、糖代謝活性との関連について遺伝子レベルでの実験を行い、cPLA2とグルコーストランスポーター発現との関連性が示唆された。また前年度までに引き続き、臨床データを用いた検討を行った。頭頸部癌でMRI検査とFDG-PETの両方の検査を行った患者100例の解析結果をまとめた。頭頸部癌の種類、発生部位、サイズと一次転移リンパ節のSUVmax、TLG、MTVをパラメータとして多変量解析を行った結果、癌の大きさとの転移リンパ節のSUV, MTV間には有意な相関が認められた。また原発巣と転移リンパ節との距離とSUVに一定の関係があるか検討を行ったが、原発巣と同側の転移リンパ節については原発巣に近いほどSUVmaxが高い傾向が見られた。また頭頸部で特異的な唾液腺癌について、MRIで得られるダイナミック造影のパターン解析を組み合わせることで、多形腺腫内癌を他の唾液腺腫瘍と区別することが出来た。これらは共同研究者らが2017年4月国際顎顔面放射線学会(台湾)で発表を行う予定である。
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Sci Rep.
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10.1038/srep19051. 5.228
PLoS One.
10.1371/journal.pone.0150680. eCollection 2016.3.057