研究課題/領域番号 |
26462847
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
小栗 千里 横浜市立大学, 医学部, 助教 (30400394)
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研究分担者 |
中島 英行 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (30437032)
來生 知 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (30545059)
光藤 健司 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (70303641)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 温熱療法 / IL-1 / 口腔癌 / 併用療法 |
研究実績の概要 |
進行口腔癌に対する治療は外科的療法が主体となるが、術後の機能・審美障害など抱える問題は多く、新たな治療法の開発が必要とされている。平成24年12月には頭頸部癌においても抗EGFR抗体薬(セツキシマブ)が臨床に導入され、その有効性が認められている。今後も口腔癌に対して新たな分子標的薬の誕生が期待される。本研究では、安全性が高くかつより高い抗腫瘍効果が得られる治療法の開発を目的に、サイトカインInterleukin-1(IL-1)阻害薬に温熱療法を加えることにより標的分子の発現誘導と腫瘍抑制に対する相乗効果、さらに早期の臨床応用を目指し、トランスレーショナル研究を行う。 これまでの研究の成果としては、in vitroにおいて口腔癌細胞株HSC-3とOSC-19を用いて温度条件と、インキュベーションタイムを様々な条件で検討し、IL-1RIの発現量を主にウェスタンブロッティングを用いて観察した。ウェスタンブロッティングでのdetectionの条件についても抗体の濃度などの条件検討行った。温熱療法は43℃、1時間のインキュベーションタイムが最適として、この条件でIL-1Ra(IL-1阻害薬)を併用して、MTT assay、Cell motility、Invasion assayを行ったところ、Cell motility assayにおいて優位に細胞の移動能の抑制が観察された。 今後は、アポトーシスの誘導の有無およびマウスを用いたin vivoでの実験を進めていく予定である。口腔癌のみならず、癌研究全体においても温熱療法とIL-1阻害薬を併用した研究は少なく、まだ不明な点も多い。本研究において温熱療法および分子標的治療の抗腫瘍効果に加えて、免疫活性を含め、そのメカニズムを解明することは従来の抗癌剤に比較して、より効果的で副作用が少ない治療法の確立が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
IL-1Ra(IL-1阻害薬)の試薬の入手が、難しくなってしまった。海外の企業へ申請書類を作成しての注文になったが、複雑な手続きであり、申請は出したものの同企業から購入することができなかった。それに伴い実験の進行が停滞した。
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今後の研究の推進方策 |
・日本の研究機関の中で、IL-1Ra(IL-1阻害薬)を使用しているグループに購入の方法を聞いたり、もしくは試薬の分配が可能かを伺う。 ・ヒト扁平上皮癌細胞移植ヌードマウスにおける温熱療法とIL-1阻害薬の併用療法による腫瘍抑制効果を検討する。腫瘍の大きさ、マウスの生存率をtime courseで計測する。またIL-1の発現程度、アポトーシスの誘導などを免疫染色、RT-PCRなどで検討する。 ・同系マウスにおける扁平上皮癌細胞株皮下腫瘍に対する併用療法を用いた腫瘍抑制効果を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでの実験で回収したサンプル(タンパク、RNA)についての詳細な解析が必要となり、その分の実験費用が次年度分として生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
これまでの実験で回収したサンプルについて、ウェスタンブロッティング及びRT-PCRでの解析を行うための試薬代として使用する。解析が終了した後には、解析結果を総合的にまとめて学会発表および論文投稿を行う予定である。
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