研究課題
昨年から腹膜透析患者の腹膜透析排液サンプルを収集し、歯周病原因菌の感染と腹膜透析患者の腹膜障害の進行との関連性及びそのメカニズムを解明するため、 腹膜透析患者から得られた腹膜透析排液に歯周病原因菌が検出できるかどうかを試みた。今年度も歯周病原因菌であるP. gingivalisの検出を試みたが、過去2年度と同様に検出できかなった。また昨年度の結果より、day1では腹膜透析継続患者のC4a値が離脱患者と比較すると有意に高く、補体古典経路が早期に活性化されると予後が良くなる可能性が示唆されたため、C4aと他の補体系タンパクとの相関を検討したところ、sMACと正の相関が見られた。しかし、IL-6やCRPなど他の炎症マーカーと比較したところ相関が見られず、独立した動態をとることが明らかになった。一方、細菌感染とアナフィラトキシンの濃度の上昇が直接的に炎症反応の悪化させることをモデル動物で明らかにするため、遺伝子組み換えラットC5aとC5adesArgを作製し、ラットに投与したところ、アナフィラトキシン単独では、顕著な炎症応答は検出できなかったが、P. gingivalis等の毒素であるLPSを低濃度で前投与後ラットC5aを投与すると強力な炎症反応が誘導された。また、C5aが不活化されたフォームと考えられていたC5adesArgにおいても、低濃度LPSを前投与すると炎症反応が誘導された。これらの結果により、低濃度LPSの存在下で補体系が活性化されると炎症反応の増強することが明らかとなり、歯周病菌由来のLPSが血中に僅かでも存在すると腹膜透析に影響を与える可能性が示唆された。
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Scientific Reports
巻: 7 ページ: 42714
10.1038/srep42714