研究実績の概要 |
平成27年度は、炎症性サイトカインTNF-alphaがマクロファージへ作用した時に放出されるエクソソームを含む細胞外小胞について、前年度の結果を更に詳細に解析した。ヒト単球様細胞株THP-1を200nM PMAで3日間処理し、マクロファージ様細胞を誘導した。その後炎症性サイトカインTNF-alpha存在下および非存在下で培養し、それぞれの培養上清から細胞外小胞を回収した。前年度は、細胞外小胞内で発現量の多い上位10種類程度のmicroRNAのプロファイルには、TNF-alpha刺激による大きな変化はなかったことを報告した。その一方で、それ以下の順位のmicroRNAでは、有意に変動したmicroRNAが多数あった。解析した1,222種類のうち100種類のmicroRNAについて、TNF-alpha刺激で2倍以上発現が変動した。特に、miR-146a (miR-146a-5p), miR-378 (miR-378a-3p), let-7b (let-7b-5p), miR-16 (miR-16-5p), miR-21 (miR-21-5p),および miR-670 (miR-670-5p)については、TNF-alpha刺激で有意に発現が上昇した。以上、前年度の結果と考え合わせると、TNF-alphaはヒトマクロファージの細胞外小胞の分泌を促進させて、細胞外小胞内のmicroRNA発現プロファイルを変化させることが示唆された。
|