研究課題
口腔に対する美意識が高まってきている近年、口臭を社会的醜悪と考えて、フレッシュできれいな息を求める人々が増えている。そこで本研究は、口臭原因物質の産生メカニズムに着目し、細菌学的手法を利用した簡易でコストパフォーマンスに優れ、さらには多数の検体を同時に検査することが可能な口臭検出キットの開発を行うことを目的としている。平成28年度は、前々年度に開発した口臭簡易検出キットを用い、臨床に場で応用可能であるかの最終確認を行った。ヒトから採取した試料を対象としているために、初年度に本学部倫理審査委員会に本研究の承認を既に得ており、本研究の被験者は本研究の目的と概要を説明後、同意を得た者を対象とした。初年度に購入した口臭測定器センサーガスクロマトグラフODSA-P2 を用いて被験者の口腔気体中のVSC を測定し、口臭を有する群と無口臭群に分類した。前年度、被験者40名(口臭群20名、無口臭群20名)から得られた試料を用いて、本検出キットの結果と比較検討することにより本検出キットの有用性の確認と基準値の設定を試みたところ、口臭群では顕著に短時間で酢酸鉛紙が黒変した。本検出キットの基準値は、試料を挿入してから培養後3時間で下部から黒変する距離が2cm未満とし、2cm以上黒変した場合は口臭を有する者と判定するように決定した。最終年度である平成28年度では、さらに被験者数を増やし、総被験者数80名(口臭群40名、無口臭群40名)分のデータを得ることが出来た。口臭測定器の結果と比較検討したところ、有意に相関が認められたために、本口臭簡易検出キットは臨床の場で応用可能であり、口臭診断における質の向上と補助に大いに貢献できることが示唆された。また、口臭に関わる口腔細菌を、培養法を用いて調査したところ、無口臭群と比較して口臭群の舌背では顕著にVeillonella属菌が優勢であることが判明した。
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Journal of Microbiological Methods
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Genome Announcements
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