研究課題/領域番号 |
26462860
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
柴田 達也 鶴見大学, 歯学部, 学内講師 (90323708)
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研究分担者 |
二藤 彰 鶴見大学, 歯学部, 教授 (00240747)
島田 明美 鶴見大学, 歯学部, 学内講師 (00339813)
杉本 昌弘 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任准教授 (30458963)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 唾液 / メタボローム / 代謝物 / 乳癌 |
研究実績の概要 |
唾液中には 疾患を反映する代謝物が存在するという仮説のもと、疾患に特異性が高く、かつ、信頼性の高いマーカーを唾液から絞り込むための基盤研究を行うのが本研究の目的である。代謝物が唾液に現れる生化学的なメカニズムを明らかにし、唾液中の代謝物の中に疾患の状態を確実に反映する物質を見つける実験を行う。基盤実験として安定同位体13Cでラベルしたグルコース(13C-グルコース)を用いた代謝物のトレーシング行った。健常マウスに13C-グルコースを腹腔内に投与し、血液から唾液に数多くの種類の低分子が移行すること、血中と唾液中の13C-グルコースが高い再現性で一定の比率になることを確認した。13C-グルコースが癌細胞でとりこまれたあとの解析はin vitroで行っているところである。さらに代謝物測定の定量性の精度を上げるための実験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的である、頼性の高いマーカーを唾液から絞り込むための基盤研究としては、トレーサー実験は重要である。すでにこれまで我々がおこなった、癌細胞を移植したマウスを使った実験で 唾液、血液、唾液腺に共通の代謝産物がみられ、その結果から代謝物が唾液に現れていることが示唆されている。それをより直接的なエビデンスで示すために、トレーサー実験を計画した。健常マウスに13Cグルコース投与後、血液、組織、唾液の代謝物を検討した。また、信頼性の高いマーカーの表面のチャージが高いために、従来メタボローム解析に用いていた限外濾過フィルターを用いた前処理方法では物質の回収率が低い問題も見つけた。このため、測定装置をCE-MSからLC-MSに替え、限外濾過フィルターを使わない前処理方法で、該当物質と類似した化合物群だけを高感度で定量値の再現性がよい測定方法を開発した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果から、癌細胞の移植実験で 正常乳腺細胞と癌細胞の代謝産物に差があるものが、唾液と血液から検知できていたが、その定量性がばらつくことがあった。その精度を上げるために今後の実験は、同一サンプルを途中で分岐させて、CE-MSとLC-MSそれぞれの方法でより網羅性と感度の高い解析を行う。さらに癌細胞から血液、唾液腺組織、唾液と代謝物が移動するか否か示すための実験として、トレーサー実験をさらに追求する。アプローチとしてまず13Cグルコースが癌細胞でとりこまれたあとの解析はin vitroで行う。さらにin vivoで癌細胞移植後トレーサーを注射し、そのトレーサーの分布を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果の学会発表のための経費を計上していたが、発表の中心となる代謝産物量の定量性をあげる必要があると判断し、予定していた複数の学会発表を見送ったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
定量性をあげるためのin vivoの追加実験を行うので動物、試薬などの購入に使用する予定である。
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