唾液蛋白質ヒスタチンは抗菌作用があり、病原体から生体を守っている。唾液には抗ウイルス作用があるが、その詳細な唾液成分は明らかにされていない。ヒスタチンは生体防御に関わる自然免疫関連因子であるため、抗インフルエンザウイルス作用を持つ可能性がある。本研究では、ヒスタチンがインフルエンザウイルス構成成分を阻害する唾液蛋白質であることが判明した。また、ヒスタチンはインフルエンザウイルスやグラム陽性菌の構成成分と相互作用し、それら構成成分による炎症誘発を抑制することが明らかとなった。これらは、唾液蛋白質の新たな生理的機能を見出した結果であり、将来的な抗ウイルス・抗炎症薬の開発に結び付く内容である。
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