研究課題/領域番号 |
26462862
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
有地 淑子 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (60232063)
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研究分担者 |
有地 榮一郎 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (00150459)
中山 美和 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (10609879) [辞退]
西山 航 愛知学院大学, 歯学部, 非常勤助教 (80631613)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 顎関節症 / 咀嚼筋痛 / 理学療法 / 超音波エラストグラフィ |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクトは、本研究の目的は、マッサージ治療の奏効しない難治性咀嚼筋痛患者に対して、1.超音波elastographyを用いて咀嚼筋の形態、内部性状、血流動態、筋硬度の評価、2.fMRIを用いて脳活性の評価、3.痛み質問票を用いて疼痛の種類や程度の評価。これらを解析することによって適切な治療法を選択する「治療プロトコル」を確立することである。。 当該年度はまず治療法の確立をめざした。オーラルリハビリテーションロボットによるマッサージ治療の治療効果を検討した。咀嚼筋痛を有する41名の患者にマッサージ治療を施行した結果、70%の患者に症状の消失や軽減がみられ、有効性が確認できた (Cranio 33:256-62,2015)。またTranscutaneous Electrical Nerve Stimulation (TENS)治療の安全性と使用条件を検討した。20名の健常ボランティアの両側咬筋に、2機種・3条件 (F5200-122Hzと4,000Hzの組合せとF310-5Hz、F310-300Hz)でTENS治療を施行した。その結果、安全性に問題はなく、咬筋表層の皮膚温度上昇と気持ちよさのVAS値が比較的高いF5200が適していることが確認できた (第28回日本顎関節学会総会・学術大会2015.7.4. 名古屋)。 次に咬筋の硬さをより定量的に評価できる手法としてシアウェーブ超音波エラストグラフィに着目し、これを咬筋へ適用することを検討した。その結果、シアウェーブ超音波エラストグラフィの観察者内・観察者間信頼性は0.99と非常に高いことが確認できた。健常咬筋のYoung率は安静時43kPa、かみしめ時54kPaで、これを今後の研究の標準値として使用できるようになった(Dentomaxillofac Radiol 45:20150251,2016)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究の目的は、咀嚼筋痛患者の咬筋の超音波エラストグラフィを用い、咀嚼筋痛患者に対して筋マッサージ治療を施行、治療の奏効の違いによる筋超音波像の特徴を明らかにすることである。マッサージ治療の安全性および効果の程度は確認できた。マッサージ治療の代替としてのTENS治療の準備も進んでいる。さらにシアウェーブ超音波エラストグラフィの手法を用いて、咬筋の健常値も求めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
咀嚼筋痛を有する患者に対しひきつづき筋マッサージ治療を施行し、超音波エラストグラフィによる咬筋の評価をおこなう。疼痛発現および制御のメカニズムを解明するために、疼痛の種類や程度を変えたTask時において、咬筋の超音波エラストグラフィ、脳fMRIを撮像し、筋痛の種類・程度と咬筋の超音波所見、脳活性の領域・程度の関連を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
慢性疼痛の発現と制御のメカニズムを解明するために、MR装置を借用して脳fMRIを撮像した。実験期間が短縮できたために、当初の計画ほど機器利用料金がかからなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
慢性疼痛の発現と制御のメカニズムを解明するために、さまざまな疼痛をTaskとして課した場合の脳fMRIを撮像する。MR装置の利用には、機器利用料金が必要である。 咀嚼筋の状態と脳fMRIの関連を解析するのに、研究補助および統計処理に関する専門知識の提供を必要とする。国内外の関連学会で発表する。また関連施設で研究打合せを行う。研究成果を投稿する。
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