研究課題/領域番号 |
26462863
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
西浦 弘志 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (90284760)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | RP S19 / 好中球 / C5a受容体 / アンタゴニスト / p38MAPK / 二次元電気泳動 / TOF-MAS |
研究実績の概要 |
C5aのC末端側にないRP S19特異的なC末端アミノ酸(IAGQVAAANKKH)による好中球上のC5a受容体へのアンタゴニスト作用を説明するために、His-tagged C5aのC末端側にIAGQVAAANKKHを連結したHis-tagged C5a/RP S19を調製した。His-tagged C5aは、好中球上のC5a受容体を介して細胞内カルシウム濃度を上昇し、ERK1/2シグナル経路を惹起し、細胞走化性を誘導した。一方、His-tagged C5a/RP S19は好中球上のC5a受容体を介して細胞内カルシウム濃度を上昇せず、ERK1/2シグナル経路を惹起せず、細胞走化性を誘導しない。しかし、His-tagged C5a/RP S19は単球・マクロファージ上のC5a受容体を介して細胞内カルシウム濃度を上昇し、p38MAPKシグナル経路を惹起し、細胞走化性を誘導した。IAGQVAAANKKHによる好中球特異的C5a受容体アンタゴニスト作用を解明する目的に、好中球とHis-tagged C5aまたはHis-tagged C5a/RP S19を混和した後、細胞をデタージェントで融解し、His-tagged C5aまたはHis-tagged C5a/RP S19と結合したC5a受容体を含む部分的膜成分ミセルをキレートカラムで回収した。回収蛋白質は二次元電気泳動で展開し、His-tagged C5a/RP S19と特異的に結合したスポットをトリプシン消化して、TOF-MASで解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
C5a/RP S19と結合する好中球特異的発現の蛋白質をプロテオミクス法で同定することが、平成26年度の目標であった。既に、蛋白質を同定し、ウエスタン法でその存在を確認した。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト白血病HL-60細胞は、DMSOおよびPMAで好中球様およびマクロファージ様細胞に分化誘導可能である。ゆえに、IAGQVAAANKKHと会合する好中球特異的発現蛋白質を欠損または過剰発現させたHL-60細胞を遺伝子操作法で調製する。 HL-60細胞由来のPMA誘導性マクロファージ様細胞は、C5aとC5a/RP S19に反応。HL-60細胞由来のDMSO誘導性好中球様細胞は、C5aに反応し、C5a/RP S19に無反応。一方、shRNA-HL-60細胞由来のPMA誘導性マクロファージ様細胞は、元々好中球特異的蛋白質を発現していないのでC5aとC5a/RP S19に反応。shRNA-HL-60細胞由来のDMSO誘導性好中球様細胞は、好中球特異的C5a受容体でなくなるためC5aとC5a/RP S19に反応。また、好中球特異的蛋白質過剰発現-HL-60細胞由来のPMA誘導性マクロファージ様細胞は、マクロファージC5a受容体でなくなるためC5aと反応しC5a/RP S19に無反応。好中球特異的蛋白質過剰発現-HL-60細胞由来のDMSO誘導性好中球様細胞は、好中球特異的C5a受容体としてC5aと反応しC5a/RP S19に無反応。以上を証明し、IAGQVAAANKKHと特異的に結合する好中球特異的蛋白質を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
大阪歯科大学から兵庫医科大学へ異動したため、学会発表の機会が得られなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の日本病理学会(名古屋、4月30日ー5月2日)、国際病理学会(アメリカ・ワシントン、2016年03月12日-18日)での学会発表を行うための旅費に合わせて請求する。
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