研究課題/領域番号 |
26462871
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小林 洋子 (岩松洋子) 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50261524)
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研究分担者 |
齋藤 正寛 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (40215562)
島内 英俊 東北大学, 歯学研究科(研究院), 名誉教授 (70187425)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | S-PRGフィラー / 歯周炎予防 / 金属イオン / 炎症性細胞浸潤 / 骨吸収 |
研究実績の概要 |
本研究は、S-PRGフィラーの抗菌性に着目し、結紮によるマウス歯周炎モデルに投与することで歯周炎予防効果を解析し、「S-PRGフィラーを応用した新規歯周炎予防技術の開発」を目的としている。 これまで、マウス歯周炎結紮モデルに対して、S-PRGフィラー抽出液を一定濃度、一定期間投与した後、マイクロCTで骨吸収を測定したところ、結紮14日後において、S-PRGフィラー抽出液を投与した群では投与しなかった群に比較して有意に歯槽骨頂端ーセメントエナメル境(ABC-CEJ)距離が減少しており、S-PRGフィラー抽出液による歯槽骨吸収の抑制が観察された。今年度は、さらに分析をすすめ、骨密度ならびに骨体積についても検討したところ、いずれもS-PRGフィラー抽出液を投与した群では投与しなかった群に比較して骨密度ならびに骨体積が有意に上昇しており、歯槽骨吸収抑制が確認できた。 さらに同じ試料を用いて、組織学的、免疫組織学的手法を用いた解析を行い、S-PRGフィラー抽出液投与群において好中球およびマクロファージを含む炎症性細胞浸潤の抑制ならびに歯周組織破壊抑制がみられたが、さらに炎症性サイトカインの1つであるMMP-9の発現抑制も観察された。 また、S-PRGフィラー抽出液に含まれる金属イオンの分布を調べるため、TOF-SIMS分析を行ったところ、ボロン、ナトリウム、ストロンチウム、アルミニウム、シリカ、フッ素それぞれの分布を確認でき、特に、S-PRGフィラー抽出液投与群ではボロンが広範囲に観察された。 in vitroの解析を行うため、ヒト由来骨芽細胞を用いて炎症性サイトカインの一つであるTNF-aを投与したときのI型コラーゲンの遺伝子発現を調べたところ、S-PRGフィラー抽出液を投与することでI型コラーゲンの発現上昇がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は①マウス歯周炎結紮モデルを用いてS-PRGフィラー抽出液の歯槽骨吸収に与える影響についてマイクロCT上で骨密度ならびに骨体積について検討したところ、いずれもS-PRGフィラー抽出液を投与した群では投与しなかった群に比較して骨密度ならびに骨体積が有意に上昇しており、歯槽骨吸収抑制が確認できた。 ②S-PRGフィラー抽出液に含まれる金属イオンの分布を調べるため、TOF-SIMS分析を行ったところ、ボロン、ナトリウム、ストロンチウム、アルミニウム、シリカ、フッ素それぞれの分布を確認でき、特に、S-PRGフィラー抽出液投与群ではボロンが広範囲に観察された。 ③in vitroの解析を行うため、ヒト由来骨芽細胞を用いて炎症性サイトカインの一つであるTNF-aを投与したときのI型コラーゲンの遺伝子発現を調べたところ、S-PRGフィラー抽出液を投与することでI型コラーゲンの発現上昇がみられた。 ただ、今年度は改良型マウス歯周炎モデル実験に着手することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に達成できなかった改良型マウス歯周炎モデル実験、すなわち、絹糸を結紮することで作成された従来型マウス歯周炎モデルにおいて14日経過した後、糸を除去することでみられる歯槽骨再生過程に及ぼす影響ならびに培養細胞を用いたS-PRGの抗炎症効果についてさらに詳しく検討を加える予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した抗体がキャンペーン価格で予定より安価に購入できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の試薬購入に使用する予定である。
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