研究課題/領域番号 |
26462873
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
保坂 啓一 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80451946)
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研究分担者 |
中島 正俊 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (50272604)
高橋 真広 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (20613920)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 接着破壊 / Acoustic Emission |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,音波解析手法と疲労損傷センシング手法を用いることによって歯と高分子生体材料であるコンポジットレジンとの接着破壊メカニズムを解明することである. 初年度は,まず音波解析手法を用いて,歯とコンポジットレジンとの接着破壊挙動解析実験系の確立を目指した.歯質接着性レジンを応用して作成した歯とコンポジットレジンの接着修復複合体試料を作製し,国際的に広く採用されている微小引張り接着試験を行い,試料に引張り応力を負荷した.試料には微小Acoustic Emissionセンサー(圧電素子センサ)を取り付け,応力負荷中の試料から破壊現象に先立って起こる微小ひずみや微小亀裂とともに発生すると考えられるAcoustic Emissionの発生の検出を試みた.微小引張り接着試験の試料は接着界面が1平方ミリメートルときわめて微小であり困難が予想されたが,様々な機器の検出設定を行うことによってAcoustic Emissionの検出に成功した.このAcoustic Emissionの発生は修復物内部に起こる微小変形や微小クラックの発生,すなわち破壊現象と関連付けられ,微小な接着試料においてもAcoustic Emission検出手法を確立することができたことは非常に意義深い. 実験結果から,Acoustic Emission発生から接着破壊が起こるまでの時間や挙動を分析することによって,接着システムの違いによる接着破壊挙動の違いや接着破壊のタイミングを予測できる可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題研究において,初年度である平成26年度には,歯と生体高分子材料としてのコンポジットレジン接着試料の破壊において,Acoustic Emissionの検出手法を確立し,接着破壊の前駆現象,ならびに接着破壊現象の音波解析法が利用できることが明らかになった. また実験結果より,接着システムにより破壊現象が異なること,破壊現象をより詳細に分析すれば,破壊の予測可能性について大きく期待できることが分かった.接着試料は微小であるため複数センサによる解析を行い発生部位の特定の可能性についても今後検討していく.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,破壊の前駆現象を示唆するAcousticEmissionの発生が,接着破壊の前段階のどの時点において発生するのか,特殊なソフトウエアを用いて詳細に分析していく予定である.また多数センサによるAcoustic Emission発生部位の特定可能性についても継続して模索していく予定である.また疲労損傷センシング手法を用いた接着破壊挙動の分析法についてもその確立を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
アコースティックエミッション検出実験機器に関して,どの機種が本研究にふさわしいか見定めるのが困難であるため,機器レンタルを行って実験を行ったため.
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次年度使用額の使用計画 |
アコースティックエミッションに関する研究については,比較的安価にレンタルが可能なので実験回数に問題は生じないと考えている.次年度も引き続き機器レンタルを行うことにより研究を遂行する予定である.
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