研究課題/領域番号 |
26462874
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
礪波 健一 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (20334427)
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研究分担者 |
岩崎 直彦 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (20242216)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 象牙質 / 紫外光 / 接着強さ |
研究実績の概要 |
Xeエキシマランプ照射象牙質表面のTEM, SEMおよびEDSを用いた分析を行ったところ 照射表面TEM像に厚さ250nmの境界明瞭な層が形成されているのが明らかとなった。同層の内部はコラーゲン線維などの構造は観察されなかった。したがって、Xeエキシマランプ照射により、表層の象牙質マトリクスコラーゲンが分解、変性していることが考えられた。Xeエキシマランプ180秒間照射後にボンディング処理を行った条件では、TEM像にて表層の電子密度が大きくなっていた。またEDSよりXeエキシマランプ照射象牙質において炭素元素が象牙質内に進入していることが観察された。したがって、Xeエキシマランプの作用により生じたマトリクスコラーゲン変性部位にボンディング材が浸透していることが推測された。 Xeエキシマランプ照射象牙質とコンポジットレジンの接着せん断試験を行ったところ、50%の試験片に通常の接着試験では観察されない粘弾性挙動を示しながら破断が生じる現象が観察された。Xeエキシマランプを空気中に照射するとオゾンが発生する。オゾンはレジンモノマーの重合阻害作用を有する。したがって、Xeエキシマランプによって発生したオゾンの影響で接着界面のボンディングレジンに未重合領域が生じ、応力―ひずみ曲線状に粘弾性挙動が顕著に表れる結果となったことが考えられた。現在、接着試験を継続して行い、オゾンの影響が生じない照射条件を検索している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Xeエキシマランプ照射象牙質表面のTEM, SEMおよびEDSを用いた分析結果についてSan Francisco で行われた2017 International Association of Dental Research で研究発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
オゾンが影響しない照射条件の検索と、その条件下での接着せん断試験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度国際学会に出席しなかった分が今年も繰り越されている。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度、実験、論文執筆と共に積極的に海外での研究発表を行う。追加材料費、論文作成投稿費、旅費等に充当する予定である。
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