研究課題/領域番号 |
26462882
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松崎 久美子 (田中久美子) 岡山大学, 大学病院, 助教 (50550802)
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研究分担者 |
吉山 昌宏 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10201071)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 象牙質知覚過敏症 / セルフエッチング接着システム / 接着 |
研究実績の概要 |
象牙質知覚過敏症においては、処置が多岐にわたり、知覚過敏抑制材の塗布から日を改めてコンポジットレジン修復を行うケースがある。象牙細管が開口したくさび状欠損に対して、知覚過敏抑制材の塗布後にコンポジットレジン修復を行う際には、まず知覚過敏抑制材による歯質の石灰化を確実に行うこと、次いで、プライミング時に過剰な知覚過敏抑制材を排除し、プライマーを確実に歯質に浸透させることが、治療の成功につながると考え、研究を行った。 まず、う蝕のないヒト抜去小臼歯を用い、象牙質知覚過敏モデルを作製した。知覚過敏抑制材には市販のMSコートONE、F-バニッシュ歯科用5%、ナノシールを使用し、接着システムはセルフエッチング接着システムを使用した。 0.2%塩基性フクシン水溶液を用いた接着界面の色素浸透の観察を実体顕微鏡で行った。また、象牙細管内へのプライマーの浸透の観察を、共焦点レーザー顕微鏡を用いて行った。その結果、MSコートONEは色素浸透が少なく、すなわち辺縁漏洩が少なく、他の2種の知覚過敏抑制材を比較して知覚過敏抑制効果が表れていることが明らかとなった。また、プライマーの浸透においては、MSコートONEにおいてセルフエッチングプライマーの浸透をほとんど認めず、プライミングで過剰な知覚過敏抑制材を除去できず、プライマーが歯質に確実に浸透していないことが明らかになった。他の2種の知覚過敏抑制材においては、象牙細管内にプライマーの浸透を認めた。知覚過敏抑制材による象牙細管封鎖の程度が接着界面の辺縁漏洩と象牙細管内へのプライマーの浸透に影響を及ぼすことが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
象牙細管が開口したくさび状欠損に対して、知覚過敏抑制材の塗布後にコンポジットレジン修復を行う際には、まず知覚過敏抑制材による歯質の石灰化を確実に行うこと、次いで、プライミング時に過剰な知覚過敏抑制材を排除し、プライマーを確実に歯質に浸透させることが、治療の成功につながると考え、研究を行った。その結果、知覚過敏抑制材種類によっては、塗布することで知覚過敏モデルの象牙細管は封鎖されていることが実態顕微鏡からも共焦点レーザー顕微鏡からも確認できた。しかし、その後のプライミングで過剰な知覚過敏抑制材を除去できず、プライマーが歯質に確実に浸透していないことが明らかになった。研究はおおむね順調に進展しており、今後は接着性の向上を目的に、さらなる考察と研究が必要と考える。
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今後の研究の推進方策 |
知覚過敏抑制材による歯質の石灰化、あるいは象牙細管の封鎖が市販の知覚過敏抑制材で充分に行えることが明らかとなった。しかし、知覚過敏抑制材の塗布後にコンポジットレジン修復を行う際には、プライミング時に過剰な知覚過敏抑制材を排除し、プライマーを確実に歯質に浸透させることに課題が残る。今後は、プライミングの効果を向上させるために、プライミング時のアジテーションを採用し、接着性を評価する。またその接着耐久性を検討する。
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