研究課題
開口した象牙細管の封鎖ならびにその被着面に対する接着システムの接着性に関する研究を行った。まず,う蝕のないヒト抜去小臼歯を用いて象牙質知覚過敏症のモデルを試作し,象牙細管開口モデルとして適切であるかを検討した。その結果,象牙質表面に対し,30分間の超音波洗浄を行った試料において,象牙細管の開口を十分に認め,モデルとして適切であると評価した。その表面に対し,セルフエッチング接着システムの接着性を検討したところ,健全象牙質と比較し,象牙細管開口モデルにおいては,プライマー処理による脱灰の程度が強く,微小引張接着強さは低い値を示し,引張試験後の破断面形態で象牙質凝集破壊を認めた。次に,市販の3種の象牙質知覚過敏抑制材を塗布した象牙細管開口モデルに対する接着システムの接着性を研究した。まず,表面性状を評価したところ,特徴は異なるものの,いずれも象牙細管の封鎖を示す形態学的特徴を認めた。次に,セルフエッチングプライマー塗布後の被着面の形態,接着試料体の接着界面における辺縁漏洩,共焦点レーザー顕微鏡および走査電子顕微鏡による接着界面,微小引張接着強さおよび引張試験後の破断面形態の評価・分析を行った。その結果,1種の知覚過敏抑制材においては接着界面における辺縁漏洩が少なく,他の2種の知覚過敏抑制材を比較して知覚過敏抑制効果が表れていることが明らかとなった。また,3種の象牙質知覚過敏抑制材の作用機序の違いにより,被着面は形態学的に違いを認めた。それに伴い,プライミング後の象牙質表面も3種で異なるものとなった。しかしながら,象牙細管開口モデル群,3種の象牙質知覚過敏抑制材塗布群において,接着強さは同等の値を示した。象牙細管開口モデルに対して本研究で使用した3種の象牙質知覚過敏抑制材は,その後に処理した接着システムの接着強さに影響を及ぼさないことが示された。
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