研究実績の概要 |
接着性レジンは,審美的にも優れ,歯質の侵襲を最小限に抑えた治療が可能なため,臨床で汎用されている.しかし,長期的に見ると材料の劣化を避けることはできず,如何に耐久性を向上するかが今後の鍵となる.劣化の一つの現象として,歯質接着材に含まれるフィラーが,長期間に渡って水にさらされることにより脱落しやすくなることが報告されている.これはフィラーのシランカップリング層の劣化によるものだと考えられるが,この分野に関しての研究はほとんど見受けられない.そこで本研究では,フィラーの種類や処理方法がボンディング層内部におけるフィラー耐久性に与える影響について検討した.1液性の歯科用ボンディング材を用い,その中のフィラーを,一般的に用いられているシリカフィラーのほかに,ジルコニアフィラー,アルミナフィラー,またシランカップリング処理を行ったシリカフィラーで,ボンディング材を試作し,歯質接着界面でのフィラーの劣化具合を検討した.その結果,アルミナ,ジルコニアフィラーの接着界面観察サンプルは,37℃の水中に1年保管後でも,フィラー脱落のない耐久性を示した.これは接着材中の10-MDPがフィラーに吸着した,強固にカップリングされたことが影響していると推察された.また,フィラーの種類により比重が異なることから,添加されたフィラーの体積が異なるために,接着材の粘性に大きく影響を与えることがわかった.本研究結果は、146回日本歯科保存学会春季学術大会で発表を行った.また、現在、この結果について、論文執筆中である
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