研究課題/領域番号 |
26462891
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
川上 智史 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (00169682)
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研究分担者 |
植原 治 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (00709248)
斎藤 隆史 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40265070)
安彦 善裕 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90260819)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | エピジェネティクス / 再石灰化 |
研究実績の概要 |
歯髄保存療法剤として水酸化カルシウム製剤を使用して,露髄面に硬組織形成を促進させる直接覆髄法が広く行われている.しかし,その高いアルカリ性のため生体局所での炎症反応や形成された被蓋象牙質の質や形成に要する期間などを考慮すると,改善点は多い.一方,ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDACi)は,近年,骨芽細胞の骨形成を促進し,破骨細胞の分化を著しく阻害することが報告されている.これらのメカニズムが象牙芽細胞前駆細胞の修復組織形成に関与しているか詳細は明らかにされていない.そこで本研究では,エピジェネティックス修飾に関わるHDACiの象牙芽細胞前駆細胞に対する分化誘導について検証した. HDACiとしてMS-275,バルプロ酸(VPA),トリコスタチンA(TSA)および酪酸(NaB)を用いた.象牙芽細胞前駆細胞(MDPC23)を培養した.細胞増殖能の測定,位相差顕微鏡による細胞形態を観察,修復組織形成に関与していると考えられる遺伝子(Bmp2,Bmp4,Bmp6,Runx2,Alpl,Bglap,Spp1,Dspp,Dmp1)について遺伝子発現の検討を行い,また石灰化の評価はアリザリン染色,アルカリフォスファターゼ活性測定を行った. HDACi添加によりコントロールと比較してRunx2,Alp1,Bmp4およびBmp6の遺伝子発現に有意な増加が認められた.また,MDPC23に対するHDACiの石灰化促進作用も認められた. 以上のことからHDACiは,MDPC23の修復組織形成に関与している遺伝子発現の上昇,アルカリフォスファターゼ活性および石灰化を促進させることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験機器の故障等により,予定していたヒストンの修飾に関与する遺伝子の解析が行えなかった.
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今後の研究の推進方策 |
1.平成26年度に引き続き遺伝子発現の検討およびアルカリフォスファターゼ活性・石灰化の観察を行う. 2.免疫染色による観察を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
解析を行えなかった遺伝子のPCR法のためのプライマー作成費である.
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に引き続き遺伝子発現の検討,アルカリフォスファターゼ活性,石灰化の観察および免疫染色による観察を行う. 上記の計画の遂行のため,①PCR法のためのプライマー製作費および試薬の購入②免疫染色に使用する抗体の購入③研究関連学会等への出張旅費,を本年度の研究費として使用する予定である.
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