研究課題/領域番号 |
26462892
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
片山 直 明海大学, 歯学部, 教授 (10105596)
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研究分担者 |
田島 雅道 明海大学, 歯学部, 講師 (70130995)
菊地 寛高 明海大学, 歯学部, 非常勤講師 (70234193)
梅村 直己 朝日大学, 歯学部, 助教 (80609107)
村上 幸生 明海大学, 歯学部, 准教授 (00286014)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ヒト歯髄幹細胞 / 象牙芽細胞への分化 / CD44 / ヒアルロン酸 / シグナル伝達経路 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ヒト歯髄幹細胞を安全で効率的かつ安価に象牙芽細胞へ分化誘導させることで、臨床適用可能な硬組織再生療法を実現させるためのものである。歯髄幹細胞株を用い、歯髄幹細胞が象牙芽細胞に分化するための誘導因子とそのシグナル伝達系に関する基礎的研究を行った。前年度までの研究で、歯髄幹細胞がCD44高発現であることから、CD44リガンドのヒアルロン酸で、歯髄幹細胞の石灰化誘導を確認した。石灰化関連分子であるdentin sialophosphoprotein(DSPP)とdentin matrix acidic phosphoprotein-1(DMP-1) のmRNAレベルの上昇をリアルタイムPCRで、さらにウエスタンブロット法にてそれらのタンパク質レベルでの増加も確認した。その結果、ヒアルロン酸が歯髄幹細胞の象牙芽細胞への分化誘導因子である可能性が示唆された。さらに、ヒアルロン酸がCD44を介して象牙芽細胞に分化誘導するためのシグナル伝達経路を解析した。ヒアルロン酸は歯髄幹細胞のAkt (Protein Kinase B)・Smad・MAPK (mitogen-activated protein kinase)を活性化した。そこで実際にどのシグナルが重要な役割を果たしているのかを調べるために、DSPPとDMP-1を指標として、各シグナル伝達系阻害剤の影響を調べた。しかしながら、ヒアルロン酸によるAkt・Smad・MAPKの活性化はいずれも、象牙芽細胞への分化には直接関与していないことが判明した。 但し、CD44の中和抗体によって、ヒアルロン酸の象牙芽細胞への分化誘導は確実に抑制されたことから、歯髄幹細胞CD44の下流の何らかのシグナルが象牙芽細胞へ分化誘導させていると考えられる。今後さらに他のシグナル伝達系の解析をする必要がある。
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