歯髄幹細胞の石灰化を誘導する物質を調べた。歯髄幹細胞が細胞接着分子の一つであるCD44を強発現していることを見出した。そこで、CD44のリガンドであるヒアルロン酸を歯髄幹細胞に作用させたところ、細胞の石灰化シグナルが顕著に誘導された。このヒアルロン酸の石灰化作用はCD44の中和抗体で確実に阻害された。ヒアルロン酸刺激による細胞内シグナルを調べたところ、MAPK、SmadやAktシグナルを活性化させたが、それらシグナルの選択的阻害剤では歯髄幹細胞の石灰化誘導は全く抑制できなかったため、MAPK、SmadやAktシグナル以外のシグナル伝達系が歯髄幹細胞の象牙芽細胞様分化に関与していると考えられる。
|