研究課題/領域番号 |
26462895
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
内山 敏一 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (60419760)
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研究分担者 |
木本 統 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (10267106)
西山 典宏 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (90112953)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | コンポジットレジン長期耐久性 / MMP / 微小引っ張り試験 / 重合性メタクリル酸第四級アンモニウム |
研究実績の概要 |
コンポジットレジン修復はミニマルインターベーションを可能とし、審美的観点からも高頻度に行われる齲蝕治療である。しかし、象牙質中に存在するMatrix Metalloproteinase(MMP)が注目を浴びると修復後の長期安定性に問題が浮かんできた。MMPが活性化すると象牙質レジン接着構造体を長期的な崩壊に導くからである。以前までの研究からクロルヘキシジン(CHX)はMMPの抑制に有効であることが判明しているが、親水性であることやアレルゲンであることから有用性が低い。そこで、新たな材料としてCHXと近い組成を有する重合性メタクリル酸第四級アンモニウム(QAM)を用い、ボンディング材に混入する方法を考えた。 初年度は、健全ヒト大臼歯を使用することから、日本大学松戸歯学部倫理委員会の承認(EC 14-029)を得た。その後、3種類の10%メタクリ酸第四級アンモニウム含有ボンディング材:QAM(METMAC:[2-(Methacryloxy)ethyl]trimethylammonium 、MCMS:Methacryloxyl choline methyl sulfate、ATA:2-Acryloxyethylammonium chrolide)を合成した。合成物を用いて象牙質レジン接着構造物を作製し、n=5にて微小引っ張り試験を行った。その結果、Cont.:19.30±3.16、METMAC:15.83±5.10、MCMS:14.50±1.62、ATA:6.60±4.01となり、Dunnett法による検定ではCont.とATAのみに有意差が認められた。 以上より、初年度の研究結果からボンディング材として最低限必要な短期的な接着力を有するQAMとしてはMETMACならびにMCMSと判断し、27年度はMETMACならびにMCMSの長期的な接着力の安定性を調査していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、初年度は①日本大学松戸歯学部倫理委員会の申請書を提出し、承認を得ること。②3種類のQAM塗布後のレジン象牙質接着構造物を37℃に設定した温水ならびに人工唾液中に24時間保管後に微小引っ張り試験を行い、ボンディング材として最低限必要な接着力の有無(n=10)をCont.と比較して調査することである。 初年度の結果としては、日本大学松戸歯学部倫理委員会の承認(EC14-029)を得られたことで①を達成できたこと。②の短期的な接着試験については、温水のみで人工唾液保管後は行っておらず、また、計画ではn=10であるところn=5となったが、3種類のQAM中でATAはCont.と比較して有意差が認められたことから、ATAは最低限必要な接着力がなく臨床応用は不可能であるが、MTEMACならびにMCMSは条件を満たし短期的な接着力としては臨床応用が可能であることが判明した。以上より、来年度以降はMETMACならびにMCMSの長期的な耐久性について調査していけば良いことが分かり、来年度以降の研究に繋がるほぼ満足が得られる結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
口腔内環境の想定条件として 37℃に設定した温水ならびに人工唾液中に24時間保管後の短期的な接着試験についてMETMACならびにMCMSについてn=10となるよう追加して行う。その後、 1年間保管後の試料を、24 時間保管後と同様の条件で微小引っ張り試験を行う。METMACならびにMCMSとも測定試料を n=10 とし、得られた結果をDunnett法 で棄却率 5%にて有意差検定を行い、開発した QAM 含有ボンディング材の長期的な耐久性を判定する。 また、接着界面の透過型電子顕微鏡撮影(TEM)も行い、接着界面の状態を視覚的に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
IADRへの演題締切に研究成果が間に合わなかった為、IADRへの英語翻訳料が掛からなかったため
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次年度使用額の使用計画 |
コンポジットレジン、エッチングの購入及び英語翻訳料などに使用する予定である。
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