研究課題/領域番号 |
26462899
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
奈良 陽一郎 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (80172584)
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研究分担者 |
柵木 寿男 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (50256997)
小川 信太郎 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (80707646)
前野 雅彦 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (20736334)
新田 俊彦 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (20247042)
山瀬 勝 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (80301571)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | CAD/CAM修復 / セラミック修復 / 微小接着強さ / 辺縁漏洩 / CAD/CAM用ブロック / レジン接着システム / 接着性レジンセメント / 繰り返し荷重 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、CAD/CAM 修復を含めた審美性接着修復に焦点を絞り、直接法と間接法による質の高い当該修復の達成を図ることを目的として検討を行っている。以下に、平成26年度に得た主要な成果を示す。 1)チェアサイド型歯科用CAD/CAMシステムであるCERECは、用いる修復用ブロックや接着セメントなどが異なる場合でも均一な垂直的咬合面形状再現性を示した。 2)CAD/CAMセラミックアンレー修復において、動的荷重・象牙質コーティング・ボンディング材事前塗布の有無にかかわらず、歯肉側窩縁からの漏洩は生じにくいことが明らかとなった。また、象牙質コーティングとボンディング材事前塗布の併用は有意に辺縁封鎖性を改善することが判明した。 3)CAD/CAMアンレー修復における接着において、新規レジンセメントLAは、接着当初において、長石系セラミックブロックVより新規ハイブリッド型レジンブロックCに対し優れた接着強さ獲得能を有している。しかし、動的荷重ストレスの負荷によって、Vとの接着は数値的に堅持されるものの、Cとの接着、加えて自己接着能を具備しないセメントECと長石系ブロックとの接着(V-EC)は有意な侵襲を受けることが確認できた。 4)2年間の常温保管が代表的な汎用性オールインワンアドヒーシブシステムのTBSに与える影響は、被着体によって異なっていた。また、高密度充填型歯冠用硬質レジン、ジルコニア、コンポジットレジンへの接着強さは、新鮮処理液と同等の値を示すものの、健全エナメル・象牙質、12%Au-Pd合金、長石系ガラスセラミックスでは有意な接着強さの低下が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
患者・術者双方の願いや目標を具現化する首座的療法として、MI療法が活用できる審美性接着修復を挙げることができる。またデジタルテクノロジーの進展を受け、歯科用CAD/CAMシステムによるメタルフリー審美性修復治療に大きな期待がもたれている。本研究では、CAD/CAM 修復を含めた審美性接着修復に着眼し、直接法と間接法による質の高い当該修復の達成を目的に検討した。今年度は「研究実績の概要」に挙げた主要な研究成果によって、以下に示す臨床的意義・寄与を確認することができた。 1)CERECによる小窩部と裂溝部のミリング不足は、ミリング用ダイヤモンドバー先端部の形状と寸法がオリジナル形状に比べ大きいことに起因すると推察する。また、ミリング過多を生じる発育隆線部と咬頭頂部の再現性は、CERECのバイオジェネリックコピー機能とミリングとのシステム調整によって改善が期待できると考える。 2)CAD/CAMセラミックアンレー修復におけるレジンコーティング表面へのボンディング材事前塗布が示すによる優れた封鎖性は、コーティングによるストレスブレーカーの寄与に加え、ボンディング材事前塗布によってレジンセメント/被着面間の“ぬれ性”改善が貢献したと考えられる。 3)CAD/CAM歯冠部修復の接着挙動は、用いるレジンセメントとブロックとの組合せによって異なり、さらにブロックによる差異は、ストレスの有無によって変化することが判明した。 4)代表的汎用性オールインワンアドヒーシブシステムの2年間常温保管がTBSに与える影響は、被着体によって異なっていた。これは、添加された各種成分が、2年間という時間経過によって多様な変化をきたし、それらが交錯して影響したと考えられる. 以上から、現在までの達成度に対する自己点検評価としては、「おおむね順調に進展している。」と考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策としては、平成26年度に得た成果を踏まえ、本研究における独創的評価方略である2つの実検系、すなわち、複合機能試験機およびMicro-tensile bond test を活用した実験系とin vivo/in vitro 小型接着試験器(PAT)を活用した実験系を活用し、対応する。 ○ 複合機能試験機およびMicro-tensile bond test を活用した実験系 「立体的構造を有する窩洞内に施されたCAD/CAM 修復を含めた直接・間接法による審美性接着修復が、修復中ならびに修復後の多様なストレスを受けた後にどの様な接着挙動を示すか」という点に注目し、複合機能試験機とMicro-tensile bond test を活用しながら、多様なストレスを受けた後の接着性、特に微少引張り接着強さを測定し検討する。また、微小漏洩の評価に際しては、色素浸透試験法を併用し検討する。今後の具体的な進行手順として、第1段階では、1)信頼性に長けたCAD/CAM修復法の検討項目の検討、2)市販・試作修復器材からの被験材料の抽出を行う。第2段階では、1)規格化Micro-tensile Bond Test 法と複合ストレス負荷試験との組合せ実験による評価検討、2)口腔内スキャナーの違いによるCAD/CAM 修復物の窩洞適合性評価、3)CAD/CAM 修復の接着挙動の評価、4)各種審美性接着修復材料の基本的物性の評価、5)接合界面部の評価を実施する。 ○ PATを活用した実験系 本実験系ではレジン接着システムの接着性評価に際し、接着強さ測定をin vitro/in vivo 両環境下で実施することにある。今後の具体的な進行手順として、第1段階では、本研究代表者開発のPATによる評価項目(被験材料・被験歯質・歯面処理法等)の検討を行う。第2段階では、1)臨床的修復歯面(齲蝕罹患象牙質・歯頸部摩耗症露出象牙質等)・健全歯面に対するin vitro/in vivo 測定による評価検討、2)接合界面部の評価検討を実施する。
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