研究課題/領域番号 |
26462901
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
英 將生 鶴見大学, 歯学部, 講師 (80329226)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生体材料 / 表面・界面物性 / ナノ材料 / 有機化学 / 歯学 |
研究実績の概要 |
歯科接着材料の歯質に対する接着のメカニズムは,未だ不明な点が多い.なかでも,モノマーの分子構造と歯質接着性能との関連性についてはほとんど明らかにされていない.また,構成成分であるモノマーの違いが長期接着耐久性に及ぼす影響などについても明らかにされていない. 本研究では,「1.樹脂含浸層の強化,耐久性に関する分析及び検討.2.ボンド層の強化,耐久性に関する分析及び検討,3.樹脂含浸層及びボンド層の劣化の検証,改善検討,及び,長期接着耐久性を有する接着材の検討.」の項目に焦点を当て,モノマーの違いが接着界面の強化や長期接着耐久性に及ぼす影響を検討することとした. 平成26年度は,計画していた「1. 樹脂含浸層の強化,耐久性に関する分析及び検討.(1)機能性モノマーとコモノマーが高浸透性と高重合性に及ぼす影響を検討.(2)機能性モノマーのアパタイトに対する化学的相互作用を分析.」を実施するために①粘度測定.②フーリエ変換型赤外分光 FT-IR.③微小硬度測定の各実験を行った.①粘度測定では,各種モノマーの粘度とモノマーにHApを反応させた試料の粘度を比較した.モノマーの種類により,粘度が異なり,HApと反応させた試料でも相違があった.また,モノマーの種類により,HAp添加後の粘度上昇の割合に相違のある結果が得られた.②FT-IRでは,各種モノマーとHApの化学的相互作用による重合率の変化を,FT-IRにて評価した.モノマーの違いによって重合率に差があることが分かり,各種モノマーにHApを加えて測定したところ,重合率は上昇した.③微小硬度測定では,モノマーおよびアパタイトの添加が異なる歯質接着システムの物性を微小硬さ試験機にて測定した.重合率の結果同様,機能性モノマーの違いによって硬さに差があり,HApを添加した場合,硬さは上昇する傾向がみられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
接着界面強化に優れる機能性モノマー並びにその他のモノマーを解析し,それらのモノマーの接着安定性および耐久性を検討するために次の研究計画を立案した. 1. 樹脂含浸層の強化,耐久性に関する分析及び検討.2. ボンド層の強化,耐久性に関する分析及び検討,3. 樹脂含浸層及びボンド層の劣化の検証,改善検討,及び,長期接着耐久性を有する接着材の検討. 平成26年度は「1. 樹脂含浸層の強化,耐久性に関する分析及び検討」の計画項目を実施するために,次の2つ「(1) 機能性モノマーとコモノマーが高浸透性と高重合性に及ぼす影響を検討.」「(2) 機能性モノマーのアパタイトに対する化学的相互作用を分析.」を行う計画とした. これらの検討,分析を行うために,①粘度測定.②電子顕微鏡観察.③フーリエ変換型赤外分光 FT-IR.④微小硬度測定.の実験を計画した.①粘度測定.③フーリエ変換型赤外分光 FT-IR.④微小硬度測定.に関しては,研究計画通り平成26年度内に実験を実施し,概ね結果を得ている.また,今年度はモノマーの種類による接着性能の相違を知るために接着試験を追加で行った. 以上の実験状況からおおむね順調に進展しているものと思われる.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究計画は,平成26年度終了時点で,おおむね順調に遂行されていた.平成27年度は,「2.ボンド層の強化,耐久性に関する分析及び検討」の計画項目を中心に研究を行う予定である.分析にあたっては,FT-IRおよび硬さ試験等を中心に研究を進めていくが,耐久性に関する研究計画があるため,試験期間を考慮することが必要である.試験では作製後の試料を一定期間保存し,その後にその試料を測定するため,試験実施にあたり,詳細な実験スケジュールを立てて研究を遂行していく必要がある.一定期間保存が必要な耐久性に関する試験試料を早期に作製し,保存期間内にその他の試験を実施するなどの計画で進めることになる.平成27年度の研究終了後,平成26,27年度の結果を考慮し,樹脂含浸層及びボンド層の劣化の検証,改善検討,及び長期接着耐久性等を検討していく.
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