研究実績の概要 |
本研究では, ヒト骨格筋幹細胞による歯髄細胞分化過程におけるオートファジー必須遺伝子LC3とAPG5の機能解析を生化学的手法(細胞増殖能, ELISA, アポトーシス, RT-PCR法による遺伝子解析, 蛍光免疫染色, ALP染色, アリザリンレッド染色, ウエスタンブロット法, 細胞接着能と細胞運動能の解析など)ならびにFACS(フローサイトメーター)を用いて基礎的検討を行う. さらに, ラットを用いたin vivoにおいて, 摘出した歯を基盤鋳型として, オートファジー制御による再細胞化した歯髄組織の再生を観察することで, 従来の歯髄保存治療であるう蝕治療法や覆髄法に代わる新規な歯髄再生モデルを構築することを研究目的とする. 平成26年度の具体的到達目標は, ヒト骨格筋幹細胞の象牙芽細胞分化誘導の評価と, 象牙芽細胞分化誘導前後のオートファジー必須遺伝子LC3とAPG5の発現動態を生化学的手法を用いて検討することであり, 以下の結果を得た. 1, ヒト骨格筋幹細胞の象牙芽細胞細胞分化誘導の評価: hanging drop法を施した後, レチノイン酸存在下で3日間浮遊培養させ, その後, ゼラチン上に細胞を播種し, BMP-4存在下で7日間培養を行った結果, 神経堤細胞マーカー(FoxD3, Sox10)と象牙芽細胞分化マーカー(DSPP)の遺伝子およびタンパク発現が観察された. 2, 象牙芽細胞分化誘導前後のオートファジー必須遺伝子LC3とAPG5の発現動態の評価: 経時的に total RNAを抽出し, 象牙芽細胞分化誘導におけるLC3とAPG5遺伝子とタンパク質の発現動態をRT-PCR法を用いて検討した結果, レチノイン酸添加後に統計学的有意なLC3とAPG5遺伝子発現が観察された.
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