研究実績の概要 |
本研究では, ヒト骨格筋幹細胞による歯髄細胞分化過程におけるオートファジー必須遺伝子LC3とAPG5の機能解析を生化学的手法(細胞増殖能, ELISA, アポトーシス, RT-PCR法による遺伝子解析, 蛍光免疫染色, ALP染色, アリザリンレッド染色, ウエスタンブロット法, 細胞接着能と細胞運動能の解析など)ならびにFACS(フローサイトメーター)を用いて基礎的検討を行う. さらに, ラットを用いたin vitroにおいて, 摘出した歯を基盤鋳型として, オートファジー制御による再細胞化した歯髄組織の再生を観察することで, 従来の歯髄保存治療であるう蝕治療法や覆髄法に代わる新規な歯髄再生モデルを構築することを研究目的とする. 平成27年度の具体的到達目標は, ラットを用いたin vivoの実験系において, 摘出した歯を基盤鋳型として, オートファジー制御による歯髄組織の再細胞化(歯髄再生)を組織学的に検討し, 以下の結果を得た. 1, 歯基盤鋳型の作成: 8週齢の雄性Wister系ラットの前歯を顎骨ごと摘出し, 24時間の脱細胞化処理が歯基盤鋳型の作成に効果的であることが明かとなった. 2, オートファジー関連遺伝子産物による歯髄脱細胞化歯基盤の再細胞化の検討: 作成した歯基盤鋳型に骨格筋幹細胞を導入し, 細胞増殖能および細胞接着能について検討した結果, 統計学的有意な歯基盤鋳型に対する骨格筋幹細胞の細胞増殖能および細胞接着能が観察された.
|