研究課題/領域番号 |
26462910
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
重光 竜二 東北大学, 大学病院, 助教 (00508921)
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研究分担者 |
小川 徹 東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (50372321)
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30178644)
山川 優樹 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80324010)
池田 清宏 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50168126)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 有限要素解析 / インプラント / バイオメカニクス |
研究実績の概要 |
平成27年度はインプラント固定性補綴物の設計が顎骨内力学挙動に与える影響を考察すること目的としてFEA応力解析を行った。 被験者は下顎左側第二小臼歯から第二大臼歯部に部分欠損を有し、同部に3本のインプラント(ブローネマルクシステムMkⅢ TiU直径3.75mm,長さ13mm)が埋入されている女性である.患者の口腔内にて実測された三次元的な荷重データを荷重条件として用いたFEAにより,支台インプラント本数が荷重状況に及ぼす影響を考察した。有限要素ソフトウェア(MECHANICAL FINDER Ver.7.0 Extended Edition,RCCM)を用いて線形弾性解析を行った.インプラント、上部構造および圧電式センサーをマイクロCTで撮影しSTLファイル化した.顎骨は日本人平均顎骨形状に基づいて,長軸(z軸)32mm,短軸(x軸)12mm,長さ(y軸)54mmの単純モデルをCADソフトウェア(solidworks2012, ソリッドワークスジャパン)を用いて作成し,骨形状のうち外側2mmを皮質骨とした. 最大咬みしめ時の遠心延長Brでは支台インプラント周囲に応力集中が観られた.また、WAX咀嚼時の遠心延長Brにおいても欠損に隣接した支台インプラント周囲に広範囲の応力集中が見られた. WAX咀嚼時には特に主機能部位である左下6相当部のインプラント周囲に非常に高い応力集中が見られた. 全ての解析ケースにおいて,応力分布は口腔内実測荷重のノルムおよびベクトルの影響を受けていた.解析結果から,Brに較べ延長Brにおける骨内応力は応力値,応力分布ともに違いが観察された.これは,インプラント上部構造の設計,インプラント本数が荷重状況に影響をおよぼすことを示している. 今後は,被験者CTデータから骨の不均質性を再現したモデル上での解析を進め,補綴設計が力学挙動におよぼす影響を明らかにしていく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に取得した形状データを基に本年度は解析・分析を進めた.複雑形状のモデル化には多くの工数を要したが,本年度のモデル構築システムの確立は次年度の解析ケースの増加に寄与するものであり,今後の進捗に期待できる.
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今後の研究の推進方策 |
前年度に取得した形状データおよび本年度に構築した解析システムを基に,今後は顎骨不均質性を考慮したモデル構築へと発展させ,より詳細な力学挙動の解析を推進する予定である.分析を進める上では個体差を加味した評価方法が必要となるが,これまでに開発した空間的評価指標を用いる事により,臨床応用を視野に入れた多角的分析を行っていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、前年度までに撮影したモデル構築に利用する画像データを用いて解析を行っため、当初の計画に較べてやや研究費が抑制された.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度のデータ取得および解析に対して予算執行を行う予定である。
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