歯科診療時の術者の心理的ストレスを客観的かつ連続的に把握することは、歯科医療の質の向上、安全性の確保のために欠かせないものである。本研究では新たに開発された小型レーザー血流センサーに着目し、ウエラブルな測定装置を開発し、患者の心理的ストレスを定量化することを目的とした。目的達成のために、①測定装置の製作とその信頼性と妥当性の検証、②歯科治療時の患者の心理的ストレスを定量化をおこなう。本研究成果は将来的に高齢者・有病者へのストレスフリーかつ安全な歯科治療を行うことに貢献できる可能性が期待される。また本研究内容により構築されるシステムそのものが、他の医療分野等にも応用され、患者主体の医療への取り組みとして社会に発信できると考えている。研究仮説「歯科治療時の患者に心理的ストレスが負荷されると末梢皮膚血流量は減少する」を検証する。昨年度は小型レーザー血流センサーを応用した無侵襲・非拘束計測が可能な心理的ストレス測定装置を製作した。 本年はこの測定装置の信頼性、妥当性を検証することを目的として心理的ストレスを誘導するためのトリーアの社会ストレステストをおこない、その間の指先の血流量を経時的に測定するとともに、テスト前後での唾液中の免疫グロブリン測定した。被験者は健常者30人中22人をメンタルテストを実施する群、8人コントロール群としてメンタルテストを実施しない群とした。測定の結果、心理的ストレスにより測定した血流量の減少がみられた。この結果より開発した測定装置は歯科診療時の患者の心理的ストレスを客観的かつ連続的に測定することができることが示唆された。
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