本研究では高齢双生児に対面調査を行い、口腔内の状態を記録するとともに、咬合力や咀嚼能率といった口腔機能の検査、さらに全身的な状態を記録し、それぞれの遺伝的要因について、共分散構造分析を行った。その結果、歯周病や歯の喪失、骨格的要素以外にも、口腔機能といった表現型に対して、影響を与える遺伝因子と環境因子の割合を推定することに成功した。さらに、口腔の骨格的要素は身長や体重と同じく、遺伝因子の影響を強く受ける一方で、歯周病や歯の喪失は環境因子の影響を受けやすいことが示された。そして、口腔機能の一つである咀嚼能率は、環境要因だけでなく、遺伝因子の影響も60%近く受けていることが示された。
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