要介護高齢者施設に入居している43名の高齢者(82.3 ± 8.5歳)と自立生活を送る高齢者949名(79.9 ± 0.8歳)を対象とし,心身の健康状態,服用薬剤の聴取,歯数や義歯使用有無の記録,最大咬合力の測定,四基本味による味覚域値検査を行った.要介護高齢者では,四基本味(甘味,酸味,塩味,苦味)の正答率がそれぞれ69.4%,14.3%,16.3%,8.2%であったのに対し,自立高齢者ではそれぞれ97.9%,70.8%,89.6%,43.8%と要介護高齢者より高く,有意差を認めた.また,ロジスティック回帰分析の結果,いずれの味質も,味覚の低下に対して「施設入居」が有意な変数であった.
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