研究課題/領域番号 |
26462922
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
柏原 稔也 徳島大学, 大学病院, 助教 (90274232)
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研究分担者 |
後藤 崇晴 徳島大学, 大学病院, 特任講師 (00581381) [辞退]
市川 哲雄 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (90193432)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 無歯顎 / 概形印象 / 精密印象 / 3次元デジタイザー / 3Dプリンター / CAD/CAM / デジタル写真測量法 / 3Dスキャナ |
研究実績の概要 |
CAD/CAMで製作した印象用トレーを用いて印象採得を行い、その印象精度を検討することを目的とした。上顎に関して、被験者は無歯顎患者5名(男性2名、女性3名、平均年齢80.0±12.9歳)とした。デジタル写真測量法の条件は、水平的角度±15度の範囲とし、垂直的角度45度の位置で行った。デジタル写真測量法から構築された顎堤形状より印象用トレーを設計し、3Dプリンタ(Projet 460plus, 3DSYSTEMS社製)で作製した。印象用トレーを用いて、シリコーン印象材で辺縁形成、精密印象採得を行い、作業用模型を製作した。 下顎に関して、被験者は無歯顎患者3名(78.3±9.4歳)とした。デジタル概形印象採得には接触式デジタイザを用い、トレース間隔は5 mm間隔トレースとした。得られたデータをPC上でCADソフトを用いて処理し、下顎顎堤形状を構築した。印象用トレーの設計と製作、トレーを用いた精密印象採得は上顎と同様に行った。また本法による作業用模型と比較するため、同じ被験者に対して、通法に従って精密印象採得を行い、作業用模型製作をした。それぞれの作業用模型を3Dスキャナにて3次元データ化し、両者を3次元データ検査ソフトウェア上で重ね合わせを行い、その差異を検討した。 両者の差異は、上顎で0.25±0.03 mm、下顎で0.44±0.10 mmであった。従来法による研究用模型と作業用模型の平均差異は、上顎で0.26 mm、下顎は0.45 mmであることを考えると、本法と従来法による作業用模型の差異は同程度であると考えられた。本年度の研究では印象採得に着目しているが、本システム全体としては咬合採得と印象採得を同時に行うものであり、治療時間や治療回数の減少、廃棄物の排出量、感染や誤飲誤嚥のリスクの低減を考慮すると、本研究結果は許容でき、本システムは臨床的に使用可能であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本学附属病院に来科した患者様を倫理委員会の承認を基にして、サンプリングを行っている。被験者数は当初の見込みより少なく5名である。次年度は研究実施計画にある残りの15名に関して研究を進めていく計画であり、当初の予定通り達成できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
実際の患者様で臨床研究を行っており、意図した精度で顎堤形状が再現可能であった。上顎に比べて下顎の精度が低い傾向にあり、接触式アーム型3次元デジタイザー、非接触式デバイスともに、口唇、頬粘膜、舌の周囲組織が、障害となっていると考えられる。今後はそれぞれのデバイスの特徴を十分に理解した上で使用方法を再検討し、より効率的なシステムを開発する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
3Dプリンターの消耗品を購入予定であったが、症例数が少なく3Dプリンターの使用頻度が低く購入数が少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は症例数が増えると共に、3D プリンターの使用頻度も高くなり3Dプリンタの消耗品をさらに購入する予定である。接触式デバイスを用いた口腔内の顎堤形状の採得が難しく、改良が必要であるため、その為の器材を追加購入予定である。
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