目的:本研究の目的は,in vivoでデジタル印象とシリコーン印象技術の術者間の再現性を評価し,比較することである. 材料・方法:欠損を有さない12人を被験者とした.これらの被験者の下顎右側臼歯を口腔内スキャナー(Lava COS,3M ESPE)とシリコーン印象材(Imprint3,3M ESPE)の2種類で印象採得を行った.どちらの印象採得も異なる臨床経験(3年と9年以上の臨床経験)の歯科医師によって行った.シリコーン印象から製作した石膏模型は3Dラボスキャナー(D810,3shape)によってSTLデータを取得し,口腔内スキャナーについてはSTLデータを直接Lava COSのシステムからエクスポートした.この二つの異なる方法によって記録されたSTLデータを,3D評価ソフトウェアに読み込み,それぞれの印象方法から得たデータに対してベストフィットアルゴリズム法(最小二乗法,PolyWorks)を使用して重ね合わせた.術者間の再現性は, 3Dデータの平均誤差による評価として2つ印象方法の間で比較した(対応のあるt検定,p <0.05). 結果:STLデータの術者間比較における誤差を数値化したところ,デジタル印象(19.5±3.4)がシリコーン二重同時印象(33.8 ± 6.6)よりも分散が少ない傾向を示した.また,患者の違いによる分散の変動も,デジタル印象がシリコーン二重同時印象よりも少ない傾向を示した(P<0.05). 結論:本研究の結果により,口腔内光学スキャナーは術者の臨床経験に関わらず,従来のシリコーン印象技術と比較してより良好な再現性を有する可能性が示唆された.
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