研究課題/領域番号 |
26462940
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
石上 友彦 日本大学, 歯学部, 教授 (70191872)
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研究分担者 |
大山 哲生 日本大学, 歯学部, 講師 (10318446)
梅川 義忠 日本大学, 歯学部, 助教 (20451312)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 磁性アタッチメント / 咬合 / 義歯 / 部分床義歯 / 歯科補綴学 |
研究実績の概要 |
オーバーデンチャーの咬合について検討するには、根面板の形態と配置が咬合力に対しどのように応答するか検討することが必要である。当年度の研究では、根面板モデルを装着した万能試験機上で、オーバーデンチャーの模型に曲げ試験を行い、義歯床の剛性に与える影響と破折条件について検討した。加熱重合型義歯床用レジンをJIS規格に準拠した形態に試験片として作成し、臨床の根面板の形態を模した半球形および台形のコーピング上で3点または4点の支持によるオーバーデンチャー模型として曲げ試験により、荷重偏位および破折時の強度を求めた。この実験により、咬合時の義歯床の変形がコーピングの形態および配置により受ける影響について明らかとなった。 上記の実験と同時に、同一設定の研究モデルを三次元有限要素法により作成し力学解析を行い、荷重に対する応答を評価した。 両実験において、コーピングを臨床に即した30mmの間隔で配置し、コーピングの中間部および片持ち梁部で荷重した結果を比較したところ、加熱重合レジンによるモデルと有限要素法による解析の間に共通性が見られた。すなわち、解析モデルを変形させ、応力の集中する箇所で、実験モデルのレジン床の破折が多くみられることが示された。同時に、根面板形態により破折の様相に大きな違いは見受けられなかったが、解析モデル上でも同様の傾向となった。 これらの結果より、咬合力による義歯床および下在組織へのへの力の伝達について、模型実験および有限要素解析はいずれも有効であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
磁性アタッチメントを用いた有床義歯の咬合について、咬合様式と荷重負担、すなわち義歯床と床下組織の力学的応答を検討するのが本研究の主眼である。現在までに初年度目標として、残根上義歯の根面板に対する力学的影響の検討として、根面板モデルを適用した加熱重合型義歯床用レジンの曲げ試験を三次元有限要素法の結果と統合するための実験を行い、日本磁気歯科学会第24回学術大会に報告した。この実験はモデルによる曲げ試験の結果が有限要素法による研究結果と十分にマッチすることを示すとともに、より複雑な形態での有限要素解析の妥当性を示唆するものとなった。 以上より研究の進捗はおおむね予定どおりと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に重要な変更は予定していない。 平成26年度の結果より、有限要素法による研究結果と模型実験による曲げ試験の研究結果の等価性について検討することができたため、レーザー変位計に関する費用を圧縮することができた。平成27年度計画では有限要素法の研究が順調であるため、模型実験について充実を図り、床用レジンの疲労試験について試験体の追加および試験体作成のため金型製作を行い、繰り返し使用がレジン床および床下組織に与える影響について検討することとする。一部の課題に関しては、模型実験と有限要素法の等価性について追加の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画ではレーザー変位計を用いた実験により、実験モデル上に設定した義歯モデルに対して加えた咬合力に対して粘膜モデルおよび根面板モデルの歯根に加わる荷重変化および応力分布について有限要素法の結果と比較し、模型実験の妥当性を検討することを予定していた。実験開始後に模型実験および有限要素法による実験結果の比較を行い再現性についての検討を行ったところ、十分な等価性が得られると判断することができた。このため、レーザー変位計を用いた研究計画については費用の圧縮が可能であると判断し、次年度以降に計画していた義歯床用レジンを用いた模型実験について、試験体および試験体製作用金型の製作費用を追加し、研究計画を充実させることとしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
大量の加熱重合レジン試験体を必要とすることが判明したため、レジン重合の試験体金型の試作と、万能試験機用アタッチメントの製作を行う。
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