研究課題/領域番号 |
26462942
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
栗原 大介 鶴見大学, 歯学部, 臨床教授 (70535773)
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研究分担者 |
大久保 力廣 鶴見大学, 歯学部, 教授 (10223760)
鈴木 恭典 鶴見大学, 歯学部, 講師 (70257335)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | コンピュータアシスト / CAD/CAM / 可撤性義歯 / 義歯設計 / サベーヤー / 3次元デジタルモデル / 遠隔支援 |
研究実績の概要 |
昨年度は,現在歯科臨床においてはコンピュータアシストの技術応用が現在目覚ましい進歩を遂げているものの,可撤性義歯治療の分野に関してはCAD/CAMを応用した治療は十分ではなく,特に,義歯の製作に重要な設計に関しては,術者の個人差が著しく,難症例の患者に対しては十分な知識と経験が必要とされてくることから,十分な知識と経験のある補綴専門医が,可撤性義歯の診断から設計までを必要とする歯科医師へ支援するために,義歯製作に関する技能教育が可能なシステム構築を模索した.当初の計画では有歯顎を有するボランティアと欠損を有する患者の口腔内の印象採得を行い,石膏模型を製作するとともに上下顎のCT撮影をおこなう予定であったが,CT撮影による被爆の問題を考慮し,CT画像データから3次元デジタルモデルを製作する方法以外を検討した.そのため,ボランティア等に頼らない方法にてパーソナルコンピュータ上において義歯の設計を試みた. まず,本学部分床義歯学基礎実習で用いられる顎模型と欠損石膏模型を用いて,石膏模型上で,補綴専門医によりサベーヤーを用いて義歯の設計概念に則った義歯設計を行った.また,3次元形状解析装置を用いて,設計に使用した石膏模型と対合歯石膏模型のスキャニングを行った.咬合関係の記録のため,顎模型の咬合関係を咬合採得用シリコーン印象材にて咬合採得を行い得られた咬合関係でプラスターレス咬合器に咬合器装着を行った.その後、技工用縮合型シリコーンパテで咬合関係を固定後,上下顎の石膏模型が咬合した状態でもスキャニングを行い,上下の咬合関係が明らかになる3次元デジタルモデルを製作した.製作された3次元デジタルモデル上に石膏模型上に印記された設計ラインを元にパーソナルコンピュータ上で設計ソフトを用いて義歯の設計を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
現在,石膏模型を用いてスキャニングした3次元デジタルモデルは咬合関係を含めて製作は可能になっている.また,3次元デジタルモデル上での設計も可能になっている.しかし,実際に石膏模型上で設計した設計ラインと3次元デジタルモデル上で設計した設計ラインを比較検討することが出来ていないため,遅れている.したがって,補綴専門医と経験の浅い歯科医師による石膏模型上と3次元デジタルモデル上における義歯設計の比較は検討段階である. また,研究当初の計画ではCT撮影を行い,CT画像データから3次元デジタルモデルを構築する予定であったが,上下全顎の撮影が必要なためボランティアや患者に対する被爆の問題を考慮し,異なった方法で3次元デジタルモデルを構築することを模索中である.
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今後の研究の推進方策 |
3次元デジタルモデル上での設計は,石膏模型をスキャニングすることにより可能になっているが,実際に石膏模型上に設計した義歯の設計ラインと3次元デジタルモデル上に設計した義歯の設計ラインの比較検討を今後行うことになる. また,遠隔支援のためには口腔内の状態を3次元デジタルモデル化することが必須となるが,口腔内スキャナーの普及が芳しくない現状の中,口腔内スキャナーを用いないで口腔内の状態を3次元デジタルモデル化する方法を生み出さなければならない.そこで,石膏模型を写真に取り,2次元画像をSTLデータに変換することを模索する.この方法が,可能になれば遠隔支援を望んでいる人には石膏模型の写真を送ってもらうことにより,支援側で3次元デジタルモデル化を行い,その上に義歯の設計が可能となる.その後,口腔内を写真に取り込み口腔内の2次元画像から3次元デジタルモデルを製作することを検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
従来の石膏模型上でサベーヤーを用いて設計を行うことに比べ,3次元デジタルモデル上でパーソナルコンピュータの設計ソフトを用いて設計を行うことに手間取ってしまったことにより,その結果実際に石膏模型上に設計した義歯の設計ラインと3次元デジタルモデル上に設計した義歯の設計ラインの比較までは行えなかったことに進行の遅滞と,当初の予定ではボランティアと患者の上下全顎のCT撮影を行い,得られたCT画像データから3次元デジタルモデルを構築する予定であったが被爆の問題を考慮したことにより,CT画像データから3次元デジタルモデルを構築する3次元ポリゴングラフ作成ソフトを購入しなかったこと,それに伴いワークステーションのパーソナルコンピュータを購入しなかったことにより次年度に使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は,3次元ポリゴングラフ作成ソフトに変わる2次元画像をSTLデータに変換後,3次元デジタルモデルを構築するソフトを購入する予定である.それに伴いワークステーションのパーソナルコンピュータを購入する予定である.その後,この方法が可能になれば口腔内に挿入して撮影するカメラが必要となる. また,現在デジタル技術は日進月歩であるが,CAD/CAMや口腔内スキャナー等の技術は欧米,特にヨーロッパが進んでいるため,デジタル技術の進歩に乗り遅れないように最新の情報を学会参加にて得るために使用する予定である.
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