研究課題/領域番号 |
26462943
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
小正 裕 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (10131385)
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研究分担者 |
小正 聡 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (70632066)
岡崎 定司 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (80169094)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | QCM |
研究実績の概要 |
義歯の汚れは,全身疾患を招くとも言われ,義歯に付着する汚れすなわちプラークの付着機構を解析する事は重要である.義歯床用材料には,レジン材料と金属材料があり,それぞれ汚れが付着しやすい事は周知の事実である.義歯床用材料に汚れの一種であるタンパク質がどれ位付着するかという質量的な測定は重要であると考えられる.そこで,我々は物質の吸着をナノレベルで追跡できるQCM装置を利用した.そこで今回は義歯床用材料を模倣した各種QCMセンサを用いて,タンパク質吸着前後でセンサ表面の化学的構造が変化するかどうかという事についてもXPSを用いて検討を行った. SPM観察の結果,コーティング前のセンサ表面で滑らかな画像が観察されるのに対し,PMMA QCMセンサ表面上にPMMA分子と考えられるノジュール構造が観察された.また,Ti QCMセンサ表面は細い粒子状であることが分かった.表面粗さは対照群と実験群で大差を認めなかった.接触角はPMMA QCMセンサが他のQCMセンサよりも大きかった.XPSにおいても対照群と実験群で,各種構成元素のピークが認められた.QCMでは,ウシ血清アルブミンとウシ血清ムチンにおいて対照群と比べて実験群での吸着量が多かった.QCM測定後の各種センサの表面をXPSで分析を行ったところ,吸着前後で炭素(C)と窒素(N)の明らかな異なるピークを認めた. これらの結果より,SPM, 接触角,XPSで確認したところ,Au QCMセンサ上にPMMAとTiが成膜されている事が明らかとなった.義歯の表面は汚れが付着しやすいという各種論文で示されている報告と同様に,本実験においてもQCMの測定では,各種センサ表面におけるタンパク質の吸着量は,PMMA QCMセンサで他のセンサと比較して統計学的に有意に高い値を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PMMA QCMセンサ、Ti QCMセンサ、Au QCMセンサの開発に成功し、義歯材料表面上の汚れの解析に利用できることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今回作成したQCMセンサで汚れの吸着だけではなく脱着の観察するとともに、新規義歯洗浄剤の開発を開始する。
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