顎関節症の一つに咀嚼筋痛がある.これに罹患した患者は咀嚼筋の疼痛とそれに伴う開口障害に悩まされる.原因としてブラキシズム(はぎしり,くいしばり)が第一に挙げられるが実験的疼痛誘発では咀嚼筋に疲労を起こすことができなかった.本研究は顎顔面領域の筋に抗疲労性があるのか検証した.用いた筋は口輪筋を含めた口唇周囲の筋,眼輪筋を含めた眼球周囲を取り巻く筋,そして舌筋であった.研究結果より,実験的はぎしりやくいしばりには顎顔面筋痛を発生させる効果はあるが,顎関節症のような持続的な影響を与えることは無いことがわかった.結論として,顎顔面筋は抗疲労性を有する可能性があることが示唆された.
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