研究課題/領域番号 |
26462951
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
津賀 一弘 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (60217289)
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研究分担者 |
吉川 峰加 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 准教授 (00444688)
丸山 真理子 広島大学, 大学病院, 歯科診療医 (80613041)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歯学 / 口腔機能訓練 / リハビリテーション / 認知症 / 摂食嚥下障害 |
研究実績の概要 |
近年、世界的に増加している認知症高齢者は,摂食嚥下障害を高頻度に合併する.認知症高齢者は指示理解が困難な為に,摂食嚥下障害に対してこれまで提唱されてきた間接的な(実際の食品摂取を伴わない安全な)訓練あるいはリハビリテーションを十分に実施できないことが多く,認知症高齢者に対する根拠に基づいた簡便で安全なリハビリテーション法の開発が望まれている.そこで,本研究は目的を,①安全な棒付き飴を短時間・自発的に舐める機能訓練法の開発,②認知症高齢者における飴舐め訓練の効果を明らかにすること,として以下の研究を行った. 平成26年度の研究として,健常若年者を対象に飴舐め訓練を行い、訓練前後において各種口腔機能検査を行って比較した.その結果,一定時間に棒付き飴を舐め摂る機能である舐摂(しせつ)機能の向上を認め,飴舐め訓練が健常者においても顎口腔機能向上に有用であることが示された.そこでさらに,基礎疾患や廃用などから顎口腔機能が低下していると考えられる認知症高齢者を含む要介護高齢者を対象として飴舐め訓練を行い,訓練前後において各種口腔機能検査を行ったところ、要介護高齢者においては訓練後に唾液分泌,最大舌圧および舐摂機能の向上を認めた. 次年度は、引き続き,認知症高齢者を含む要介護高齢者における飴舐め訓練の効果および適応を明らかにするため,広島県下の高齢者施設を訪問し,施設利用中の覚醒状態の良好な認知症高齢者を含む要介護高齢者を対象として研究を進める.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究結果を平成27年4月18日に開催された日本顎口腔機能学会第54回学術大会で報告するとともに,本邦では摂食嚥下障害および口腔機能に最も造詣の深い国内各地の研究者による討議を受けて,本口腔機能訓練の細部の熟成を行った.また,健常若年者を対象とした飴舐め訓練の結果を受け,基礎疾患や廃用などから顎口腔機能が低下していると考えられる認知症高齢者を含む要介護高齢者に対する飴舐め訓練の実施を行い始め徐々に参加頂ける被験者の選別を行い研究を開始しており,当初の研究計画と同様に研究をすすめている.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究成果より,重度認知症高齢者に対しても飴舐め訓練は安全かつ継続的に実施可能であり,要介護高齢者において飴舐め訓練の結果として唾液分泌量や舐摂機能などの各種口腔機能の向上を認めた.引き続き,広島県下の高齢者施設を利用する覚醒状態の良好な認知症高齢者を対象として飴舐め訓練の実施と,各種口腔機能検査,食品摂取状態,EAT-10などの質問紙を用いた栄養評価を行っていくこととした.さらに,得られた結果を摂食嚥下リハビリテーション学会等で発表して摂食嚥下リハビリテーションに造詣の深い日本国内の研究者との討議を経て,英語論文として投稿予定としている.
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